こんにちは!ドイツ在住のKokoです。
日本では自己意思で外国籍を取得した場合の二重国籍は認められておらず、自己意思で外国籍を取得した時点で日本国籍を失います(国籍法第11条第1項)。
日本国籍を失うことのデメリットのひとつに「簡単に日本に行けなくなる、住めなくなる」ということがあります。
日本へノービザで入国できない外国籍を取得した場合、日本に親族や友人に会いに行ったり、観光で行ったりする度にビザの申請をしないといけなくなってしまいます。
一方、例えばアメリカやカナダの国籍保持者なら、90日以内の短期滞在であればビザは不要なので、日本に一時帰国し短期滞在する分には困ることはありません(現在のようなコロナによる渡航制限時を除く)。ですが、90日を超えて日本に長期滞在する場合や、90日以内の滞在であっても日本で働きたい場合(日本の会社からお給料をもらって働きたい場合)は長期滞在ビザの取得が必要になります。
日本国籍喪失後の状況を心配する人の声には次のようなものがあります。

年老いた親の介護が必要になり日本に長期滞在しないといけなくなったらどうしよう...
長期滞在ビザは簡単に取れるのかな?

今住んでいる国は医療など不安があるし、将来日本に住むことになるかもしれない...
その場合の手続きは?
実は、元日本人(日本国籍喪失者)は日本人の子として出生していれば「日本人の配偶者等」という在留資格で長期滞在ビザを申請できます。

在留資格の名称が「配偶者等」となっているのでピンと来ないかもしれませんが、この「等」に「日本人の子」も含まれています。
通常は、
- 日本で在留資格認定証明書交付申請
- 交付された在留資格認定証明書を海外へ郵送してもらう
- 海外の日本国大使館・総領事館で在留資格認定証明書を提示してビザ申請
という流れで手続きを行うので時間も手間もかかりますが、手続き自体はそれほど難しいものではありません。
(実は、日本で在留資格認定証明書の交付を受けず、直接海外にある日本の大使館・総領事館でビザを申請する方法もあるのですが、詳しくは記事中で解説しています。)
本記事では、日本人の子として出生した元日本人(日本国籍喪失者)が「日本人の配偶者等」という在留資格で長期滞在ビザを取得する方法を解説します。

「日本人の配偶者等」という在留資格で日本に滞在すれば、日本で働けますし、住民登録、マイナンバー取得、健康保険加入も可能です。
コロナによる渡航制限下で元日本人が申請できるビザ(2022年7月6日現在)
現在は、コロナによる渡航制限のため、外国籍者は海外の日本国大使館・総領事館で発給されたビザ(査証)がない限り日本に入国できなくなっています(再入国者を除く)。
「特段の事情」があるものとして上陸を許可される日本人の子として出生した元日本人も、日本での滞在予定期間に応じて、日本入国前に次のいずれかのビザ取得が必要です。
- 「日本人の配偶者等」としての短期滞在ビザ((V) AS TEMPORARY VISITOR)
- 「日本人の配偶者等」としての長期滞在ビザ((V) AS SPOUSE, CHILD OF JAPANESE)
2021年12月2日からしばらくの間、オミクロン株への対応として ① の短期滞在ビザの申請受付はストップしていました(真に配慮すべき事情がある場合を除く)が、2022年1月11日以降 ① の短期滞在ビザの申請受付が再開されました(とりあえず2022年2月末までということでしたが、2022年7月現在も「特段の事情」があるものとして短期滞在ビザを申請しなければならない状況は続いています)。

【2022年1月の状況】
短期滞在ビザについて1月12日に管轄の総領事館に確認してみましたら、1月11日以降の短期滞在ビザ申請については、2021年12月の「真に配慮すべき事情」ほど緊急性のある理由は必要ないけれど「日本に行く必要がある理由」を記した事情説明書の提出が必要だと言われました。
ちなみに、書類がすべて揃っていて書類に問題がなければ、通常5日(土日祝日を除く)でビザが発給されるとのことでした。

【2022年7月の状況】
6月1日以降日本の入国者数の上限が2万人に増え、現在は以前に比べ、「日本人の配偶者等」として短期・長期滞在ビザを取得するハードルは下がっているようです。
今年の夏に日本に行く人が多いようですが、私の知り合いの元日本人(日本人の子として出生)や日本人の外国人配偶者(例:日本人と結婚しているカナダ人夫、ドイツ人夫)の皆さんは、日本の(日本人配偶者の)親族に会いに行く、日本で幼い子供たちの面倒を見る必要がある、といった理由で問題なくビザを取得できています。(ビザの発給までは5開館日が必要)
※本記事では短期滞在ビザの取得方法は解説していません。短期滞在ビザ申請の必要書類については管轄の大使館・総領事館にお尋ねください(公館によって必要書類が異なる可能性がありますし、今は日本政府の方針がころころ変わっているので最新情報を確認した方がよいです)。
在留資格認定証明書提示によるビザ申請、在留資格認定証明書の有効期間などについては、コロナ禍の渡航制限や郵便事情などを考慮していくつかの特例が設けられています。本記事中でコロナによる特例について解説している部分は、特例であることが分かりやすいよう「コロナによる渡航制限下の特例措置」「コロナ禍による郵便事情を考慮した特例措置」と題して黄色の枠で囲んで説明していますので、もしコロナ終息後の通常の申請方法についてのみ知りたいという人は特例部分(黄色の枠囲みの部分)を飛ばして読み進めてください。
日本にビザなしで入国・短期滞在できる国・地域と滞在許可日数

まずは、自分が取得した(取得しようとしている)外国籍の場合、
- 日本にノービザで入国、短期滞在できるのか?
- 日本にノービザで入国、短期滞在できるなら、最長何日間の滞在が許可されるのか?
について確認しておきましょう。
日本にビザなしで入国、短期滞在できるビザ免除国・地域のリストはこちら(外務省HP。常に最新)。
ビザなしで入国できる国・地域のうち、ビザなしで入国した場合に許可される滞在日数は次の通り。
国名 | 入国時に許可される滞在日数 |
---|---|
ブルネイ | 14日 |
インドネシア タイ | 15日 |
アラブ首長国連邦 | 30日 |
その他の国・地域 | 90日※ |
メキシコ、アイルランド、オーストリア、スイス、ドイツ、リヒテンシュタイン、英国については、90日の在留期間満了前に法務省(地方入国管理局)で在留期間更新手続きを行えば最長6ヶ月滞在できます。
ちなみに、ノービザで日本に入国し「短期滞在」の在留資格で滞在した場合、観光、親族・友人訪問、(日本以外の国にある会社からお給料をもらって行う)商談、見本市参加などの活動が可能です。
ですが、日本で就労することはできません(日本の会社からお給料をもらって働くことはできません)。
例えば、アメリカ人が90日以内の滞在でも日本で就労したい場合や、就労するしないに関係なく90日を超えて日本に滞在したい場合は、海外にある日本国大使館・総領事館でビザを取得してから日本に入国する必要があります。

今はコロナによる渡航制限があり事情が異なります。
「特段の事情」があるものとして上陸を許可される外国籍者(日本人の子として出生した元日本人や日本人の外国人配偶者など)は、短期滞在であっても入国前にビザの取得が必要です。
ビザ (査証) と在留資格の違いは?

ところで、 「ビザ(査証)」と「在留資格」 の違いはご存じですか?
「ビザ(査証)」と「在留資格」は混同されがちですが、実は別のものなんです。( 「ビザ」 と 「査証」 は同じです。)
例えば「学生ビザで滞在している」「学生ビザを就労ビザに切り替える」 などとよく耳にしますが、どちらの例でも「ビザ」ではなく「在留資格」と言うのが正解です。
このように「在留資格」のことを「ビザ」と言っている人が多いのですが、混同したからと言って実生活で困ることはありません。

ですが、この記事をお読みの皆さんは違いが分かっていた方が手続きの流れが理解しやすいと思います。
違いは以下の通りです。
ビザ/査証(visa)とは?
日本入国前に、海外の日本国大使館・総領事館(外務省管轄)によって発給される、日本入国の際の必要書類のひとつ。その外国人が所有するパスポートが有効なものであり日本入国しても差し支えないと判断したことを日本の出入国在留管理庁に示す推薦書(通行手形)のようなもの。通常、シールの形でパスポートに貼付される。
【参考】ビザの原則的発給基準(外務省HP)
※ビザはあくまで推薦書なので、ビザを持っていれば100%日本に入国できるというわけではありません。入国できるかどうかはあくまで入国審査官(法務省)の裁量によります。
在留資格(resident status)とは?
外国人が合法に日本に住むために必要な許可。日本入国時に法務省管轄の出入国在留管理庁(前身は入国管理局)が許可するもの。
※日本の在留資格の一覧表はこちら(出入国在留管理庁HP)。

つまり、「ビザ(査証)」で日本に入国し、入国後は「在留資格」で日本に滞在するということですね。
元日本人が長期滞在ビザを取得するまでの流れ
日本人の子として出生した(出生時に父または母のどちらかが日本国籍を持っていた)元日本人(日本国籍喪失者)が日本に長期滞在するには、①「日本人の配偶者等」というカテゴリーでまず日本で在留資格認定証明書の交付を受けた上で、②その在留資格認定証明書原本を海外まで郵送してもらってから、③管轄の日本国大使館・総領事館でビザの申請を行います。
自己意思での外国籍取得による日本国籍喪失後、戸籍上まだ日本人のままになっている場合は、まずは「国籍喪失届」を提出し、戸籍に国籍喪失の旨を記載してもらう必要があります。戸籍上まだ日本人のままになっている人は在留資格認定証明書交付の申請を行えません。
手続きの大まかな流れは次の通りです。
(海外の日本国大使館・総領事館に「国籍喪失届」を出した場合、戸籍に国籍喪失の旨が記載されるまで約3週間~1ヶ月半)
申請後、在留資格認定証明書の交付を受けるまで約1~3ヶ月
※現在は国際郵便事情が悪い国では、写し(コピー)でもよいとされている(大使館・総領事館による。要確認)
申請後、ビザの交付を受けるまで通常5日(土日祝日を除く)
※現在は有効期間の延長措置あり

ビザ取得まで結構時間がかかるなぁと思われたのではないでしょうか。
ただ、STEP2・STEP3を飛ばして直接管轄の大使館・総領事館にビザの申請を行える場合もあります。(※後述)
(STEP1 は飛ばせません。)

それでは、STEP1 ~ STEP5 を詳しくみていきましょう!
【STEP1】国籍喪失届を出し、戸籍に国籍喪失の旨を記載してもらう

自己意思での外国籍取得後「国籍喪失届」をまだ出していない人は、まず「国籍喪失届」を出す手続きから始めないといけません。
海外にある日本の大使館・総領事館に「国籍喪失届」を提出した場合、戸籍に国籍喪失の旨が記載される(除籍になる)まで約3週間~1ヶ月半かかります。

戸籍上日本人のままの人に、日本に入国するビザは出してもらえませんからね。
国籍喪失届の届出要領の詳細(提出先、必要書類など)は別記事にまとめています。
【STEP2】日本の地方出入国在留管理官署で在留資格認定証明書交付申請
在留資格認定証明書の交付申請は、ひとことで言うと、海外在住の外国人(元日本人含む)を日本に呼び寄せるための手続きです。
この手続きは日本国内でのみ行えます。
また、申請人(日本へ入国を希望する元日本人)が日本に住んでいない場合は法定代理人を通じて申請します。(海外にある日本の大使館・総領事館を通して申請することはできません)。
申請要領は、出入国在留管理庁HPの「在留資格認定証明書交付申請」のページにまとめられています。
在留資格認定証明書の役割と有効期間

「Spouse of Japanese National Visa」
在留資格認定証明書とは?
外務省のHPに分かりやすい説明がありましたので、引用しますね。
(注)在留資格認定証明書(Certificate of Eligibility)とは:
外国人が上陸審査の際に我が国において行おうとする活動が虚偽のものでなく,かつ,入管法上のいずれかの在留資格(短期滞在を除く)に該当する活動である等の上陸の条件に適合していることを証明するために,法務省所管の各地方入国管理当局において事前に交付される証明書です(日本国内の代理人による申請が可能です)。
在留資格認定証明書を所持している場合には,大使館又は総領事館において標準処理期間内(5業務日)でビザの発給が受けやすくなります(発給が保証されるわけではありません)。
長期滞在目的の場合でも,同証明書を所持せずに直接大使館又は総領事館にビザ申請することは可能ですが,上記以外に多数の資料を提出していただく必要があり,また,申請書類が日本国内の各地方入国管理当局に回付され審査が行われるため,処理に長期間(数か月)を要することになりますのでご了承願います。
引用:外務省 – ビザ(査証) 「就労や長期滞在を目的とする場合 – 特定ビザ:日本人の配偶者等」

上でも触れましたが、ここに書いてあるように「長期滞在目的の場合でも、在留資格認定証明書を所持せずに直接大使館又は総領事館にビザ申請する」ことも可能です。
在留資格認定証明書を取得せずに直接ビザ申請をする場合の必要書類は、大使館・総領事館によってHPに掲載している公館と掲載していない公館があります。
お住まいの地域を管轄する大使館・総領事館のHPに掲載されていない場合は、ビザ発給までの日数とあわせて問い合わせてみてください。
例えば、在アメリカ合衆国日本国大使館のHPにはこんな感じで掲載されています。
Spouse/Dependent of a Japanese National – APPLICATION FILED WITHOUT CERTIFICATE OF ELIGIBILITY
在留資格認定証明書の有効期間
在留資格認定証明書の有効期間は3ヶ月です。
日本で在留資格認定証明書が発行されてから3ヶ月以内に、日本から在留資格認定証明書の原本を郵送してもらって、ビザを申請・取得して、日本に入国するまでを完結しないといけません。
ですので、
- 在留資格認定証明書交付申請から取得までの日数(通常1~3ヶ月)
- 在留資格認定証明書の郵送(日本→在住国)にかかる日数
- ビザ申請から取得までの日数(土日祝日を除いて5日)
- 在留資格認定証明書の有効期間(3ヶ月)
などを考慮し、日本入国のタイミングから逆算し在留資格認定証明書の交付申請のタイミングを決める必要があります。
(もし在留資格認定証明書の有効期間内に入国できなかったら、再度一から在留資格認定証明書交付申請をやり直さないといけなくなってしまいます...)
コロナによる渡航制限下における特例措置(2022年7月6日確認)
現在は、コロナの影響で日本への入国時期が遅れている人に配慮し、在留資格認定証明書の有効期間を延長する措置が取られています。詳しくは、出入国在留管理庁の「在留資格認定証明書の有効期間に係る新たな取扱いについて」(2022年6月22日)をご覧ください。
申請書類の提出先
申請書類は地方出入国在留管理官署の窓口に提出しますが、どこの窓口でもよいわけではなく、原則として「親族の住所地を管轄する地方局又は支局」の窓口に提出することになっています。

郵送での申請は認められていません。
必ず本人または代理人が窓口に出頭し申請書類を提出しなければならないことになっています。
申請書類を提出できる人
申請人(日本への入国を希望する元日本人)本人が日本に住んでいる場合は、もちろん本人が申請書類を提出できます。
本人が海外に住んでいる場合は、法務省令で定められている日本在住の代理人を通じて申請するか、または、地方出入国在留管理局長に届け出ている弁護士や行政書士に依頼して申請できます。
法務省令で定められている日本在住の代理人とは?
6親等内の親族ならOKです。具体的には、両親、兄弟、祖父母、叔父叔母、従兄弟、はとこ、甥、姪、子、孫などの幅広い人が該当します(配偶者側の3親等内の親族も該当)。
「日本人の配偶者等」のカテゴリーで申請する場合、申請代理人は法令上親族に限られていて知人や友人は代理人になれません。

私の知人、友人は、行政書士さんなどを通さず、日本在住の代理人を通じて、自力で書類を準備し取得できています。
行政書士さんなどに依頼するとお金はかかりますが、過去の経験から色々アドバイスしてもらえる(例えば、どれぐらい滞在費用を用意すればよいのか、など)、書類不備などにより時間を無駄にすることがない、といったメリットがありますね。
必要書類
日本人の子として出生し「日本人の配偶者等」のカテゴリーで在留資格認定証明書を申請する場合の必要書類は、 出入国在留管理庁HPの「在留資格認定証明書交付申請(日本人の実子・特別養子)」にまとめられています。

以下、必要書類のうちで皆さんが悩まれるかなと思うものについて、少し補足しますね。
日本での滞在費用を証明する書類とは?
必要書類のうち皆さんが悩まれるのが、滞在費用を証明する書類です。上記の必要書類案内ページには次のような案内があります。
7 日本での滞在費用を証明する資料
(1) 申請人の滞在費用を支弁する方(複数の方が扶養する場合は収入の多い方)の直近1年分の住民税の課税(又は非課税)証明書及び納税証明書(1年間の総所得及び納税状況が記載されたもの) 各1通
※ 1月1日現在お住まいの市区町村の区役所・市役所・役場から発行されます。
※ 1年間の総所得及び納税状況(税金を納めているかどうか)の両方が記載されている証明書であれば,いずれか一方でかまいません。
※ 発行日から3か月以内のものを提出して下さい。
(2) その他
※ 入国後間もない場合や転居等により,(1)の資料で滞在費用を証明できない場合は,以下の資料などを提出して下さい。
a 預貯金通帳の写し 適宜
b 雇用予定証明書又は採用内定通知書(日本の会社発行のもの) 適宜
c 上記に準ずるもの
引用:出入国在留管理庁「在留資格認定証明書交付申請(日本人の実子・特別養子)」
申請人(日本への入国を希望する元日本人)本人に十分な財力(貯金)があり、日本での滞在費用をすべて負担できる、という場合も多いのではないでしょうか。
その場合には、本人の預貯金残高証明書、または、預貯金通帳の写し(身分事項欄と最終ページ)で問題ないとのこと(2021年11月に出入国在留管理庁 外国人総合インフォメーションセンターに確認済)。ちなみに、外国の預貯金残高証明書の場合は、日本円に換算した金額をあわせて記入してほしい、とのことです。
身元保証人は誰にお願いできる?
もうひとつの悩みどころは、誰に身元保証人をお願いするか、だと思います。
8 身元保証書(PDF) 1通
※ 身元保証人には,日本に居住する日本人(子の親又は養親)等になっていただきます。
引用:出入国在留管理庁「在留資格認定証明書交付申請(日本人の実子・特別養子)」
親が元気なうちは親に身元保証人になってもらえるよう頼むことができますが、ある程度歳を取ってから日本に長期滞在する場合、親はすでに他界している、親に身元保証人を頼める状態ではない、ということもあり得ます。また、海外在住が長くなると、親族との付き合いもなくなりがちで、親族であっても身元保証人を頼めるほどの間柄ではないということも少なくないですよね。
というわけで、 出入国在留管理庁 外国人総合インフォメーションセンターにメール(info-tokyo@i.moj.go.jp)で問い合わせてみました。
(私の質問)
「身元保証人には、日本に居住する日本人(子の親又は養親)等になっていただきます。」とありますが、お願いできる親族がいない場合、日本在住の友人や知人でも問題ないでしょうか。
(回答)
身元保証人は、日本に在住する日本人であれば、知人でも結構です。通常は親族になっていただきます。身元保証人は、住民票を提出願います。
出入国在留管理庁インフォメーションセンターへの私の質問及び回答(2021年11月8日)
身元保証人が申請人の「滞在費」「帰国旅費」も保証する?
身元保証人に記入してもらう身元保証書(PDF)ですが、文面に次のようにあります。

「法令の遵守」について保証してもらうのはよいとして、申請人本人に十分な預貯金がある場合など「滞在費」と「帰国旅費」まで保証してもらう必要はない、と思われる方もおられるのではないでしょうか。
私自身、この文面を見た時、親以外の親族や知人、友人にお願いすることになるなら、この「滞在費」と「帰国旅費」を保証するっていうのがなければ少しお願いしやすいのにな、と感じました。
ただ、申請人本人に現段階で十分な資産があり 「滞在費」と「帰国旅費」を十分まかなえる場合でも、身元保証人にはこの3点「滞在費」「帰国旅費」「法令の遵守」について一応保証してもらわないといけないことになっているそうです(2021年11月に出入国在留管理庁 外国人総合インフォメーションセンターに確認済) 。
在留資格認定証明書発給までの所要日数
在留資格認定証明書の交付申請を行ってから発給されるまで約1~3ヶ月とされています。書類に問題がない場合、(日本人の子として出生した)元日本人は約1ヶ月で発給されていることが多い印象です。

コロナの影響で今は審査時間がもっとかかっているかなと思い、2021年11月に出入国在留管理庁 外国人総合インフォメーションセンターに確認してみたら、「コロナの影響はそれほどありません」とのことでした。

実際、本サイト読者の方で、2022年になってから「日本人の配偶者等」のカテゴリーで在留資格認定証明書を申請した方(元日本国籍)がおられるのですが、申請後1ヶ月で発給されたと連絡をいただきました。
許可される在留期間
「日本人の配偶者等」のカテゴリーで申請した場合、許可される在留期間は5年、3年、1年、6ヶ月のいずれかになります(在留資格認定証明書に在留期間が記載されていますが、最終的には入国審査官が判断します)。

初めて「日本人の配偶者等」で在留資格認定証明書を申請する場合、1年の在留期間が許可されることが多い印象です。
手数料
在留資格認定証明書発給にかかる手数料は無料です。
【STEP3】日本から海外へ在留資格認定証明書原本を郵送
無事、日本で在留資格認定証明書が交付されたら、親族から在留資格認定証明書(原本)を海外まで郵送してもらいます。

原本を紛失してしまったら再申請しないといけないので、普通郵便ではなく確実に届く方法(トラッキング可能な方法)で郵送されることをおすすめします。
コロナ禍による郵便事情を考慮した特例措置(2022年7月6日確認)
コロナ以前は必ず在留資格認定証明書の原本を添えて海外にある大使館・総領事館でビザの申請をしなければなりませんでしたが、現在はコロナの影響で国際郵便事情が悪い国では原本でなく写し(コピー)の提出でよいとされています(その場合、親族の方からはメールなどで写し(コピー)を送ってもらいプリントアウトしたものを提出すればOK)。申請先の大使館・総領事館に確認してみましょう。
在留資格認定証明書関連のQ&A(出入国在留管理庁作成)から該当部分を抜粋しておきます。
Q14: 新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い,国際郵便の一時引受停止等の影響により,在留資格認定証明書の原本を海外へ郵送することができません。この場合,査証(ビザ)申請や上陸申請において,代わりに在留資格認定証明書の写しを提出することは可能ですか。(2020年6月9日掲載)
A14: 新型コロナウイルス感染症の影響による国際郵便物の引受停止や遅延等のやむを得ない事情により,査証(ビザ)申請や上陸申請において,在留資格認定証明書の原本が用意できない場合は,原本に代えて,原本の写し(コピー)による提出を認める取扱いをしています。
引用:出入国在留管理庁「新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響に伴う在留資格認定証明書の取扱い等について」(2022年6月22日)
【STEP4】 海外にある日本国大使館・総領事館でビザ申請

さて、在留資格認定証明書が入手できたら、いよいよお住まいの地域を管轄する日本国大使館・総領事館でビザ(査証)の申請を行います。
ビザ申請に必要な書類
在留資格認定証明書を提示してビザ申請を行う場合の必要書類は、基本的に次の4点です。
- パスポート
- ビザ申請書 1通(ロシア・CIS諸国・ジョージア人は2通)※外務省HPからダウンロード可
- 写真 1葉(ロシア・CIS諸国・ジョージア人は2葉)
- 在留資格認定証明書(本来は原本必須。現在は国際郵便事情が悪い国では写しでよいとされている)

「在留資格認定証明書がある」 =「すでに日本での審査が終わっている」ということなので、他のビザ申請に比べ必要書類は少なめですね。

申請を行う大使館・総領事館によっては、上記4点に加え、予約済の航空券(または予約予定の航空券)、日本に行く理由を記載した事情説明書などの提出が求められる場合もあります(直接申請先の公館に確認してください)。
大使館・総領事館のホームページで必要書類などを確認する場合、ビザ情報は通常現地語のみ(または、現地語+英語)での案内となっているので、ホームページを 日本語 → 現地語(または英語)に切り替えてご確認ください。
英語であれば、例えば
- Visa Issued on the Basis of a Certificate of Eligibility
- Application filed with Certificate of Eligibility
のような項目で確認できます。
(Certificate of Eligibility=在留資格認定証明書。略して「COE」)
コロナによる渡航制限下における特例措置(2022年7月6日確認)
出入国在留管理庁の「在留資格認定証明書の有効期間に係る新たな取扱いについて」(2022年6月22日) で定められている在留資格認定証明書の有効期間の延長は、ビザ申請時に次の文書を提出した場合にのみ適用されます。
ビザの申請・受領方法、発給までの日数、発給手数料
ビザの申請は本人出頭が原則ですが、代理人による申請/受領、郵送申請/受領が可能な場合もあるので、管轄の大使館・総領事館に問い合わせてみましょう。
申請後ビザが発給されるまで、通常5日(土日祝日を除く)です。

「在留資格認定証明書がある」 =「すでに日本での審査が終わっている」ということなので、ビザ発給までの日数も短めです。
ビザの発給手数料は国籍によって異なります(手数料無料の場合も多く、例えばアメリカ人、カナダ人の場合は手数料無料です)。
【STEP5】 在留資格認定証明書の有効期限まで (3ヶ月以内) に日本に入国

在留資格認定証明書にもビザ(査証)にも有効期限があり、両方が有効なうちに日本に入国しなければなりません。(このルールは、コロナによる渡航制限下でも同じです。)
日本の入国時に、在留資格認定証明書とビザ(査証)の両方を提示し、「日本人の配偶者等」の在留資格で上陸許可を受けます。
万が一ビザの有効期限が切れてしまった場合、再度、大使館・総領事館でビザの申請を行う必要があります。
コロナによる渡航制限下における特例措置(2022年7月6日確認)
在留資格認定証明書の有効期限(=特例として延長が認められた有効期限)が切れてしまった場合(または、日本入国予定日に切れることが見込まれる場合)は、在留資格認定申請書交付の再申請を行う必要があります。
初回申請時に比べ提出書類は少なく、また、迅速に審査を行うとのことです(処理日数目安は約2週間)。
A16: 在留資格認定証明書の有効とみなす期間が経過する方の手続については前回の申請内容から変更がなく、2023年1月31日までに在留資格認定証明書交付申請をするときは、原則として、①申請書、②受入機関等が作成した理由書、③交付済みの在留資格認定証明書(原本又は写し)のみで申請を受け付けることとして提出書類を簡素化しています。詳細はこちらを御確認ください。
なお,「受入機関等が作成した理由書」は任意の様式で差し支えありませんが,参考様式は以下から御確認ください。
引用:出入国在留管理庁「新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響に伴う在留資格認定証明書の取扱い等について」(2022年6月22日)
【補足①】外国人配偶者を同伴する場合の外国人配偶者の在留資格
もし外国人配偶者といっしょに日本に長期滞在する場合は、外国人配偶者についても、日本で在留資格認定証明交付申請を行い、管轄の大使館・総領事館でビザの申請を行う必要があります。
もし外国人配偶者が元日本人でない場合は「定住者」のカテゴリーで申請します。
【補足②】日本に「日本人の配偶者等」で滞在した後は?
初めて「日本人の配偶者等」の在留資格で日本に滞在する場合、1年の在留期間が許可されることが多い印象です。
日本に1年の在留期間を超えて住み続けたい場合は在留期間更新許可申請(必要書類は出入国在留管理庁HPで確認)を行います。(在留期間の更新は何度でもできます。)
その後、必要条件を満たせば永住許可申請 (必要書類は出入国在留管理庁HPで確認)を行えます。
「日本人の配偶者等」 の在留資格を持っている場合、他の在留資格を持つ外国人に比べ永住権取得がしやすくなっています。
→永住許可に関するガイドライン(令和元年5月31日改定)(出入国在留管理庁HPより)
最後に
本記事では、日本人の子として出生した元日本人(日本国籍喪失者)が「日本人の配偶者等」という在留資格で長期滞在ビザを申請する方法について解説しました。
申請人が海外在住の場合、法定代理人(6親等内の親族)を通じて申請しないといけません。(または、法定代理人に代わり、 地方出入国在留管理局長に届け出ている弁護士や行政書士が手続きを行うことができますが、その場合はもちろん費用が発生します。) また、親が元気なうちは親に身元保証人になってもらえますが、そうでない場合、身元保証人になってくれる人(親族、知人、友人)を探し、お願いしないといけません。
つまり、海外在住の場合、在留資格認定証明書交付申請手続き、ビザ申請は自分ひとりで完結する手続きではなく、日本での協力者が必要になります。
海外在住期間が長くなると親族とも頻繁に会えず関係が希薄になりがちですが、もし将来在留資格認定証明書交付申請手続きなどをお願いする可能性があるなら、ご親族と良好な関係を築いておかれるとよいですね。