【2022年4月1日~】18歳で10年パスポートを申請できるようになり、重国籍者の国籍選択期限が22歳→20歳になりました。詳しくはこちら

二重国籍で20歳(以前は22歳)までに国籍選択しないとパスポート更新できなくなる?

国籍選択期限までに国籍選択をしなかったら日本国籍はなくなる? 日本のパスポートは作れなくなる?

こんにちは!ドイツ在住のKokoです。

我が家の子供たちは生まれつき重国籍です。

以前の私は「日本は重国籍を認めていないので、生まれつきの重国籍者はある年齢に達するまでに日本国籍か外国籍かどちらかの国籍を選ばないといけない」という漠然とした知識しか持っていませんでした。

ですが、国籍関連の知識が必要な業務に携わった際に、多くの人が、重国籍者の国籍選択(や国籍選択期限後のパスポート申請)についての法律や実情をご存じないことに気が付きました。

重国籍をもつお子さんの(あるいは、ご自身の)国籍選択については、次のような疑問をお持ちではないでしょうか。

生まれつき二重国籍で20歳までに国籍選択をしなければいけないことは知っています。
でもどちらの国籍を選ぶか決めかねてて...
20歳までに国籍選択届(または国籍離脱届)を出さないとどうなりますか?自動的に日本国籍を失いますか?

国籍選択しない二重国籍者に対して何か罰則がありますか?

20歳までに国籍選択をしなかった場合、パスポート更新はできなくなりますよね?
(国籍選択期限までに急いでパスポートの更新をしておかないと!)

20歳過ぎて大使館にパスポート申請に行って国籍選択していないことが分かってしまったら、職員さんに国籍選択を強制されたりしますか?

本記事では、これらの疑問にお答えします。

本記事は、出生により重国籍となった人、結婚などにより自動的に国籍を付与されて重国籍となった人を対象としています。

自らの意思で外国籍を取得した人はその時点で日本国籍を失っていますので、重国籍者ではありません。日本は、「自己意思で外国籍を取得した人」については重国籍を認めていません。

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国籍選択について定めた法律

国籍選択について定めた「国籍法第14条」は次の通りです。

(国籍の選択)

第十四条 外国の国籍を有する日本国民は、外国及び日本の国籍を有することとなつた時が十八歳に達する以前であるときは二十歳に達するまでに、その時が十八歳に達した後であるときはその時から二年以内に、いずれかの国籍を選択しなければならない。

つまり、

  • 出生により重国籍となった人
  • 18歳に達するまでに自動的に国籍を付与されて重国籍者となった人(←国際結婚や認知、養子縁組など)

は、20歳の誕生日までに国籍選択をしなければならないということです。

※18歳に達した後に自動的に国籍を付与されて重国籍となった人は、重国籍となった時から2年以内に国籍選択をしなければなりません。

「あれ?国籍選択期限の年齢って22歳じゃなかったっけ??」と思われた方がいらっしゃるかもしれませんが、2022年4月1日以降、日本での成人年齢が20歳→18歳に引き下げられたことにともない、国籍選択期限も22歳の誕生日まで→20歳の誕生日までに変更になっています。

国籍選択期限が近かった人への移行措置などについては、次の記事にまとめています。

二重国籍者が20歳までに国籍選択しない場合、罰則がある? 日本国籍を失ってしまう?

Koko

いいえ。
国籍選択期限までに国籍選択しなかった場合でも、罰則はありません。
日本国籍を自動的に失ってしまうこともありません。
法務大臣からの催告が行われれば、日本国籍を喪失する可能性がありますが、そもそも催告はこれまで一度も行われたことがありません。

国籍選択していない重国籍者に対する罰則はない

国籍選択期限までに国籍を選択していない場合(日本国籍を選択する「国籍選択届」、または、外国籍を選択する「国籍離脱届」を出していない場合 (※注))法律を遵守していないことになります。

(※注)厳密に言うと国籍選択方法は他にもありますが、実際は 「国籍選択届」または「国籍離脱届」 のほぼ二択です。

ですが、国籍法では、国籍選択期限までに国籍選択をしなかった重国籍者に対しての罰則は定められていません。

Koko

法律違反ですが罰則規定がないので犯罪ではありません(警察は動きません)。

ちなみに、国籍選択期限を過ぎても国籍選択義務はあり続けますが、国籍選択期限を過ぎてから国籍選択を行うことについての罰則もありません。

日本国籍は自動的になくならないし、催告による日本国籍喪失の可能性もほぼない

国籍選択期限までに国籍を選択していないという理由で日本国籍が自動的になくなるということはありません。

ただ、法務大臣による催告が行われれば、日本国籍を喪失してしまう可能性があります。

法務大臣による催告とは?

国籍法第14条に続く国籍法第15条では、法務大臣が、国籍選択期限を過ぎた重国籍者に対して、

国籍選択期限を過ぎていますよ。1ヶ月以内に国籍選択をしてくださいね。

1ヶ月以内に国籍選択しないと日本国籍を失いますよ。

という内容の通知をすることができるとされています。

Koko

この通知のことを「催告(さいこく)」と言います。

ですが、「催告」は過去に一度も行われたことがありません。

「催告」によって日本国籍を失った人はこれまでに一人もいません。

重国籍者一人一人の国籍を正確に把握し対象者全員に公平に国籍選択の催告を行うことは無理なので、今後も催告が行われることはないと考えられています。(つまり、催告によって日本国籍を失う可能性はほぼないということです。)

  • 法務大臣はなぜこれまで一度も国籍選択の催告を行ったことがないのか?
  • 今後催告が行われる可能性があるのか?

などについて興味がある方は、次の記事をお読みください。

※過去の国会本会議や委員会等の議事録(2009年以降)などをたどって、関連する答弁をまとめたものです。

二重国籍者が20歳までに国籍選択しなかった場合、日本のパスポート更新(切替)はできなくなる?

Koko

いいえ。
国籍選択期限までに国籍選択していなくても、日本のパスポートは新しく作れますし、更新(切替)もできます。

国籍選択していなくても日本のパスポートは作れる

上で述べたように、20歳までに国籍選択をしていなくても、自動的に日本国籍を失うわけではありません。

「国籍選択期限までに国籍選択をしない=法律を遵守していない」ことにはなってしまいますが、日本国籍を持っていることは紛れもない事実なので、20歳でも、30歳でも、40歳でも、何歳になっても、日本のパスポートを新しく申請したり更新(切替)したりすることができます。

パスポート申請書の「外国籍の有無」は事実を正直に記入しよう

パスポートの申請書には、「外国籍の有無」についての質問に答える箇所があります。

パスポート申請書の「外国籍の有無」欄で虚偽の記載をすると、旅券法及び刑法によって処罰される
一般旅券発給申請書(ダウンロード版)

国籍選択期限までに国籍を選択していない場合でも、外国籍を有している事実外国籍取得方法を正直に答えないといけません。

20歳までに国籍選択をしていないからといって、外国籍を持っていないふりをするなど、申請書で虚偽の記載を行うと、あとで問題になったり処罰の対象になったりする可能性があります。

生まれつきの重国籍者は、「どのような方法で取得しましたか(複数選択可)。」という質問の回答として、次のいずれか(または、両方)にチェックを入れます。

  • 「外国籍の父又は母の子として出生」(=血統主義を採る外国の国籍を有する親から生まれた場合。例:フランス、ドイツ、フィリピン)
  • 「外国での出生」(=生地主義を採る国で生まれた場合。例:アメリカ、カナダ、ブラジル)

例えば、アメリカ人父と日本人母からアメリカで生まれた場合は、

  • 「外国籍の父又は母の子として出生」
  • 「外国での出生」

の両方にチェックを入れます。

外国籍取得方法として4つ目の「帰化申請又は国籍取得届出」にチェックを入れた場合、パスポート申請が受理されない可能性があります。なぜなら、自らの意思で外国籍を取得したのであれば、外国籍取得時点ですでに日本国籍を喪失しているからです。

出生による重国籍者のパスポート申請が、国籍選択期限までに国籍選択していないという理由だけで不受理となることはありません(下の、外務省からの回答の通り)。

パスポート申請(更新)時に国籍選択を強制される?

Koko

国籍選択期限までに国籍を選択していなくても、国籍選択を強制されることはありません。

「日本国籍か外国籍かどちらの国籍を選択すべきか悩み続けていて、期限までに国籍選択義務を果たせていない」という場合もあると思いますが、何歳になっても国籍選択を行う義務はあり続けます。

ですので、 20歳までに国籍選択をしていない人が大使館・総領事館に行ってパスポートの申請をしようとすると、通常、窓口の職員さんから国籍選択の必要性について説明があります(下の、外務省からの回答の通り)。当サイトの読者の方からいただいた情報では、「国籍選択届」の用紙を手渡されたという方もいらっしゃいます。((私自身も含め)重国籍のお子さんをお持ちの方やご自身が重国籍の方は日本の国籍選択制度について色々ご不満や思うところがあると思いますが、行政機関の職員さんが、法律を守っていない人に対して法律を守るよう説明したりリマインドしたりするのは当然のことだと思います。)

ですが、その場で「国籍選択届」を出すよう強制されたり、国籍選択の手続きを行っていないことを理由に大使館・総領事館が日本人に対して行うサービス(パスポート申請など)の提供を拒否したりすることはありません。

【参考】外務省からの回答(出生による重国籍者のパスポート申請について)

ご参考までに、「国際結婚を考える会(JAIF)」のホームページに出生による複数国籍保持者のパスポート申請について外務省に問い合わせた回答が掲載されていましたので引用させていただきます。

質問:

某在外日本公館で、出生による重国籍者がパスポートの申請をしようとし たところ、国籍選択届けの未提出を理由に申請を受理してもらえなかったという報告がありました。

この対応は正しいのでしょうか。

回答:

国籍選択届未提出を理由に旅券申請受理を拒否することはありません。

旅券手続き上、法務省からの指示の有無に関係なく「国籍留保者」と「国籍保持者」は同様に扱っており、日本国籍を保持している限り旅券の申請を受理していま す。

出生等により重国籍になった方からの旅券申請は戸籍・国籍事務である国籍選択とは別の話でありますので、日本国籍を喪失していない限り申請を受理するよう常日頃より指導しております。

しかしながら、在外公館においては旅券事務を行っている領事担当官は旅券業務以外にも多様な領事事務に携わっており、当然、戸籍・国籍事務も行っております。

このため旅券手続き等のために在外公館の領事窓口を訪れた関係者の方で、国籍選択をされていない方に対しましては、国籍選択の必要性を説明しております。

説明の際に相手の方に誤解を与えるような説明をした可能性が全くないとは言い切れません。

仮に、誤解を与えるような説明又は間違った説明を行った担当官がいる場合は当方より厳しく指導しますので、具体的な申請窓口をご教示願えれば幸いです。

(2011年10月20日 外務省領事局旅券課)

引用:国際結婚を考える会(JAIF)「出生による複数国籍保持者のパスポート申請について外務省からの回答

外務省からの回答中に出てくる「国籍留保者」とはどういった人を指すのでしょうか?

国籍留保者」とは?

日本国外で生まれ、出生によって日本国籍と同時に外国籍を取得した子は、出生から3ヶ月以内に出生届(国籍留保届)を出し「日本国籍を留保する」意思を表示することによって「国籍留保者」となります(国籍法第12条、戸籍法第104条)。

日本国内で生まれ、出生により日本国籍と外国籍の重国籍となった場合は、国籍留保の意思表示をする必要はありませんが、出生届を出す時に日本国籍留保の意思表示をする必要がないだけであって、国外で生まれた者と同様に「国籍留保者」であることに変わりはありません。

原則として重国籍を認めていない日本でも、出生により日本国籍と外国籍の重国籍となった場合については一定期間(国籍選択期限まで)日本国籍を留保する(重国籍である)ことを認めています。

ただ、「国籍選択期限までに国籍を選択しない=「国籍留保者」でなくなるというわけではありません。

上記の外務省からの回答にあるように、国籍選択期限までに国籍選択をしていなくても「国籍留保者」であることに変わりはなく、パスポート手続き上は「国籍保持者」と同様に扱われます。

国籍留保制度について詳しく知りたい方はこちらの記事をお読みください。

日本国籍があるのに喪失していると思い込んでいたケース

ところで、在ニューヨーク日本国総領事館のホームページに次のようにあります。

国籍の得喪は国籍法に定められた要件を充たした時点でいわば自動的に発生するもので、届出行為の有無に左右されないため(一部事例除く)、その事実について届出が提出されないと、本人の認識と事実に差異が生じるケースが多々ありますが、いずれの場合も事実に基づき判断されるため、例えば、本人が国籍喪失について届出を提出していなくても国籍を既に喪失しているケースや、逆に、日本国籍を喪失しているものと思い込んでいたが実際は喪失していないケースなどが頻繁に生じています。

引用:在ニューヨーク日本国総領事館「日本国籍をお持ちで米国籍等を取得された方,これから取得される方へ(日本国籍について正しい理解のために)

「日本国籍を喪失しているものと思い込んでいたが実際は喪失していないケース」?

こういったケースの中には、

20歳の国籍選択期限までに国籍選択の手続きをしなかったから、私は日本国籍を喪失した。

と思い込んでいた、という人も含まれると思います。

父または母が日本人(つまり、出生による重国籍者)だけれど、20歳までに国籍選択をしていないので日本国籍を失ったと思っていた。ある時、日本国大使館(総領事館)にワーキングホリデービザの申請に行ったら、実は日本国籍を喪失していなかったことが発覚し、ビザ申請は不要だと言われた、というようなケース。

国籍を選択していなくても自動的に日本国籍が失われるということはなく、こういった人たちは、日本のパスポートを作れば日本人として日本へ入国し日本で働くことができるので、日本入国のためのビザは必要ありません。

まとめ

出生による重国籍者が国籍選択期限である20歳までに国籍を選択しない場合、法律違反ではありますが、罰則はありませんし、自動的に日本国籍を失うこともありません。

20歳を過ぎて国籍選択をしていなくても、法務大臣からの催告が行われる可能性はほぼありません。

自分の意思で第三国の国籍を取得するなどして日本国籍を喪失しない限り、新しく日本のパスポートを申請したり更新(切替)したりできます。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。お役に立てましたら幸いです。

  • 生まれつきの重国籍者にはどんな国籍選択方法があるのか?
  • 他の人たちはどの方法で国籍選択をしているのか?
  • そもそも皆きちんと国籍選択をしているのか?

などについては次の記事に詳しくまとめています。

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