こんにちは!フランス在住のKokoです。
結婚などで、苗字や本籍(都道府県名)が変わった場合、パスポートの記載事項の変更をしないといけません。
パスポートの記載事項(苗字や本籍)を変更するには次の2つの方法があり、好きな方を選べます。
- 新たに10年または5年の有効期間をもつ(有効期限がリセットされた)パスポート(新規旅券)を申請
- 現在のパスポートと有効期限が同一の(現パスポートの有効期限を引き継ぐ)パスポート(残存有効期間同一旅券)を申請

なぜ2つも方法があるんですか?
パスポートの手数料は結構高いんです。
例えば、10年パスポートの発給手数料は16,000円。
有効期間がまだたくさん残っている人が、残存有効期間をすべて捨てて、その上さらに新しいパスポートの手数料を払わなければならないとなると金銭的負担が大きいですよね。
そういった人たちの救済措置として、2014年3月、上の②の方法「残存有効期間同一旅券」(発給手数料6,000円)が生まれたという経緯があります。
すると、



う~ん。半端に有効期間が残っている私の場合、どっちがお得なのかな?
と悩まれる方もいらっしゃると思います。
本記事では、次の内容について解説します。
- 「新規」パスポートと「残存有効期間同一」パスポート、現在のパスポートにどれだけ有効期間が残っていればどちらのパスポートが料金的にお得になるのか?
- 「新規」パスポートと「残存有効期間同一」パスポート、どちらのパスポートを申請するか決める際に料金以外に考慮すべき点は?
この記事は、日本と海外、どちらにお住まいの方にもお読みいただけます。
2014年3月、追記ページにタイプ印字する「訂正旅券」は廃止



あれ?パスポートにスタンプ押して苗字や本籍を訂正するんじゃないの?
私、そうやって訂正されたパスポート持ってるけど??
って思われた人がいるかもしれません。
2014年3月までは、苗字や本籍(都道府県名)などのパスポート記載事項に変更があった場合、パスポートの「追記(AMENDMENTS AND ENDORSEMENTS)」のページに、スタンプを押し、タイプ印字することで、記載事項の訂正を行っていました。
まだ10年経っていませんから、それ以前に記載事項の変更をされた方は、昔の方法で記載事項変更がなされた「訂正旅券」を持っておられると思います。
ただ、このやり方だと、顔写真ページ下部の機械読取式の部分や、ICチップの情報を訂正することができません。
そのため、空港や税関、渡航先での各種手続きに支障が出る場合があったため、2014年3月20日以降廃止となりました。
現在はこの方法での訂正は行われていません。
現在のパスポートの苗字や本籍を訂正する方法は2つ
「新規」旅券または「残存有効期間同一」旅券のどちらか好きなほうを申請
現在、パスポートの苗字や本籍などの記載事項を変更をする場合は、「新規」旅券または「残存有効期間同一」旅券のどちらか好きなほうを選んで申請することになっています。
- 新たに10年または5年の有効期間をもつ(有効期限がリセットされた)パスポート(新規旅券)を申請
- 現在のパスポートと有効期限が同一の(現パスポートの有効期限を引き継ぐ)パスポート(残存有効期間同一旅券)を申請
それでは、2つの方法の違い、共通点を詳しくみてみましょう。
「新規」旅券と「残存有効期間同一」旅券の比較
新規 | 残存有効期間同一 | |
---|---|---|
現パスポートの 残存有効期間 | 捨てる (無駄になる) | キープ (無駄にならない) |
新パスポートの 有効期限 | 10年パスポートは10年後 5年パスポートは5年後 | 現在のパスポートの有効期限がそのまま新しいパスポートの有効期限になる。 |
手数料 | 10年: 16,000円 5年(12歳以上): 11,000円 5年(12歳未満): 6,000円 | パスポート種類に関係なく、 一律6,000円 |
必要書類 | ①一般旅券発給申請書(10年用または5年用) ②写真 ③6か月以内に発行された戸籍謄本 ④現在のパスポート ⑤住民登録がない都道府県で申請する場合のみ、住民票の写し | 左に同じ ※ただし、①は 「一般旅券発給申請書(残存有効期間同一)」 になる。 |
申請場所 | 日本国内は、各都道府県の申請窓口。 海外は、日本国大使館・総領事館 | 左に同じ |
受領までの 所要日数 | 日本国内では最短8日(申請日含む) ※都道府県によって異なる。 ※海外は、大使館・総領事館によって異なる。 | 左に同じ |
細かいことですが、
- 「新規」のパスポートは、発行年月日から有効期限日までぴったり10年または5年なので、発行年月日と有効期限日は年は違っても月日は同じパスポートになります。
- 「残存有効期間同一」のパスポートは、発行年月日と有効期限日の月日が違うパスポートになります。
どちらの場合も、新しくパスポートを作り直すわけですから、パスポート番号は変わり、顔写真と署名も新しくなります。



ちなみに、2023年3月27日以降、パスポートのオンライン申請が可能になっています。
パスポートの記載事項(苗字や本籍など)が変更になった場合は戸籍謄本の提出が必要なのですが、オンラインでの申請手続き後に、パスポート申請受付窓口に戸籍謄本原本を郵送する流れになっています。
「新規」パスポートと「残存有効期間同一」パスポート、どっちがお得?


まず、5年パスポート(12歳未満)の場合は「新規」と「残存有効期間同一」の手数料が同じ(6,000円)なので、もちろんパスポートの有効期間が長い「新規」の方がお得です。
では、10年パスポートと5年パスポート(12歳以上)の場合は、どのような場合にどちらの方がお得になるのでしょうか。
常に有効なパスポートを持っていないといけない海外在住者と、海外旅行や出張の際のみパスポートが必要な日本在住者では事情が異なるため、それぞれのケースで考えてみましょう。
海外在住者の場合
海外で生活する日本人(日本国籍しか持たない人)は、常に有効なパスポートを持っている必要があります。
海外在住者がパスポートの記載事項(苗字や本籍など)変更をする場合、残りの有効期間と手数料を見比べて料金的にお得な方を選ぶことが多いです。
そこで、どれだけ有効期間が残っていればどちらがお得になるのか、単純に計算してみました。
10年パスポートの場合
パスポートの 残存有効期間 | どっちがお得? | 手数料 (米ドル) |
---|---|---|
3年10か月以上 | 残存有効期間同一 (現在の有効期限キープ) | 44ドル |
3年9か月以下 | 新規 (有効期限が10年後) | 117ドル |
5年パスポート(12歳以上)の場合
パスポートの 残存有効期間 | どっちがお得? | 手数料 (米ドル) |
---|---|---|
2年9か月以上 | 残存有効期間同一 (現在の有効期限キープ) | 44ドル |
2年8か月以下 | 新規 (有効期限が5年後) | 80ドル |



これは、今後もパスポートの手数料が今と同じと仮定した場合の計算なので、あくまでも参考程度に。
特に、海外で日本のパスポートを申請する場合、手数料は為替の変動によって大きく上下するので(例えば、10年パスポート手数料が2022年度148米ドル→2023年度117米ドルと大幅値下げに!)...



あくまで私の考えですが、10年パスポートだったら残存有効期間が4年以下、5年パスポートだったら残存有効期間が3年以下だったら、「新規」パスポートを申請しちゃっていいと思います。
次のように、コストより利便性を重視し「新規」旅券(有効期限が10年後または5年後)の申請を選ぶ人も少なくありませんので、ご参考までに。



大使館が遠くて、パスポートの申請が大変。
10年パスポートで有効期間は5年残ってるけど、面倒な申請を先延ばしにしたいから「新規」旅券にするわ。



ぼくが今住んでいる国では、パスポートの有効期限までしか滞在許可がもらえないんだよね。
今後も滞在許可証を更新し続ける予定だし、できるだけパスポートの有効期限を先延ばしにしておきたいから絶対「新規」だね。
日本在住者の場合
日本在住者の場合、出張や海外旅行などで頻繁に海外へ行く人、いつでも海外へ行ける状態にしておきたい人など、常に有効なパスポートを持っておく必要がある人は、海外在住者の場合と同様に考えるとよいでしょう。
どれだけ有効期間が残っていればどちらがお得になるのか、単純に計算してみた結果は次の通り。
10年パスポートの場合
パスポートの 残存有効期間 | どっちがお得? | 手数料 |
---|---|---|
3年10か月以上 | 残存有効期間同一 (現在の有効期限キープ) | 6,000円 |
3年9か月以下 | 新規 (有効期限が10年後) | 16,000円 |
5年パスポート(12歳以上)の場合
パスポートの 残存有効期間 | どっちがお得? | 手数料 |
---|---|---|
2年9か月以上 | 残存有効期間同一 (現在の有効期限キープ) | 6,000円 |
2年8か月以下 | 新規 (有効期限が5年後) | 11,000円 |



これは、今後もパスポートの手数料が今と同じと仮定した場合の計算なので、あくまでも参考程度に。
ただ、日本にお住まいの場合は、次のような方もいらっしゃると思います。



もうパスポートが必要になることはないかもしれない。



今後数年間はパスポートを使わないと思う。
例えば、新婚旅行の時は、(航空券を旧姓で予約しまっていたので、)旧姓が記載されたままのパスポートで旅行したけれど、もう海外へは長いこと行かないだろうし...という方は、すぐに苗字の記載事項変更手続きをされずに、次回パスポートが必要になった時に、残存有効期間を確認して、「新規旅券」「残存有効期間同一旅券」のどちらにするのか考えられてもよいでしょう。
ただ、こういう変更手続きってすぐにやらずにほうっておくと、忘れてしまうんですよね。
数年後、いざ海外旅行に行くってことになった時に、航空券を現在の姓(結婚後の苗字)で予約したら、実はパスポートが旧姓のままだったという...
くれぐれもご注意ください。
旅券法では、パスポートの記載事項(苗字や本籍)に変更があった時は遅滞なく変更手続きをするよう定められています。
【まとめ】パスポートの苗字や本籍を変更する場合、新規旅券と残存有効期限同一旅券どっちがお得?
パスポートの記載事項(苗字や本籍)変更には次の2つの方法があり、お好きな方を選べます。
- 新たに10年または5年の有効期間をもつ(有効期限がリセットされた)パスポート(新規旅券)を申請
- 現在のパスポートと有効期限が同一の(現パスポートの有効期限を引き継ぐ)パスポート(残存有効期間同一旅券)を申請
単純に(今後パスポート手数料が今と同じだと仮定して)「料金的にどちらがお得か」という基準で選ぶとすれば、次の通り。
- 10年パスポートの場合、残存有効期間が3年10か月以上だったら「残存有効期間同一」を選び、残存有効期間がそれより短ければ「新規」を選ぶ。
- 5年パスポート(12歳以上)の場合、残存有効期間が2年9か月以上だったら「残存有効期間同一」を選び、残存有効期間がそれより短ければ「新規」を選ぶ。
- 12歳未満の場合は、どちらも料金は同じなので、お得な「新規」を選ぶ。



あくまで私の考えですが、10年パスポートだったら残存有効期間が4年以下、5年パスポートだったら残存有効期間が3年以下だったら、「新規」パスポートを申請しちゃっていいかなと思います。
ただ、様々な理由で、あえてコストより利便性を優先する人も少なくありません。
皆さんもご自身の現在の状況や将来の予定などを考えて、どちらの方法が自分にとってよいのか決めてくださいね。