こんにちは!フランス在住のKokoです。
この10年で、二重国籍の子供たちとカナダ→ドイツ→フランスと移り住んできました。
以前、重国籍者でパスポートを2つ以上持っている場合、各国の出入国時にどのように複数のパスポートを使い分けたらよいかについて記事を書きました。
その後、読者の方から次のような質問をいただきました。

重国籍者でパスポートが複数ある場合、出入国時にどのパスポートを提示すればよいかはわかったけれど...
二重国籍で、持っているパスポートの名前が異なる場合、どちらのパスポートの名前で航空券を予約すればいいのでしょうか?
本記事ではこの質問に関して私が調査・検証した結果をお伝えします。
すべての国について調査するのは無理ですし、また、国を絞らないと問い合わせを受けた航空会社などもピンポイントで回答できないと思いましたので、今回は在留邦人が多い&出入国審査が厳しめの北米(アメリカ、カナダ)に絞って調査してみました。
- アメリカ(カナダ)と日本の二重国籍者で、アメリカ(カナダ)発日本行きの往復航空券を予約する場合
- アメリカ(カナダ)と日本の二重国籍者で、日本発アメリカ(カナダ)行きの往復航空券を予約する場合
他の国にも通じる部分があると思いますので、参考にしていただけると思います。
本記事は、私自身が各関係機関(日本の出入国在留管理庁、在日アメリカ領事館、航空会社、旅行会社)に問い合わせた内容、重国籍(のお子さん)をもつ知人・友人から聞いた内容、重国籍(のお子さん)をもつ人たちが実際に経験されブログなどに書かれている内容、私自身の経験などをもとに書いています。
ですが、渡航関連の問題は、人それぞれによって条件が違うので注意が必要です。
様々な条件が関係してきますので、航空券ご予約前に、必ずご自身で各国の大使館や入国管理局、航空会社にご確認ください。
二重国籍で2つのパスポートの名前が違うってどういうこと?
二重国籍者(日本国籍と外国籍)が所有する2つのパスポートで、記載されている氏名が異なるのはよくあることです。
多いのは以下の4つのパターンではないでしょうか。
(話を単純化するために、外国人父と日本人母をもつ二重国籍のお子さんの例を挙げています。)
- 外国のパスポートには外国人父の姓、日本のパスポートには日本人母の姓が記載されている。
- 【例】外国パスポート:姓 Smith、日本パスポート:姓 Yamada
- 外国のパスポートには外国人父の姓、日本のパスポートには日本人母の姓が記載されている。また、日本人母の姓に続いて括弧内に外国人父の姓が記載されている。
- 【例】外国パスポート:姓 Smith、日本パスポート:姓 Yamada(Smith)
- 外国のパスポートにはミドルネームの記載があるが、日本のパスポートにはミドルネームの記載がない。
- 【例】外国パスポート:名 Kai David、日本パスポート:名 Kai
- 外国のパスポートにはミドルネームが記載されているが、日本のパスポートでは括弧内にミドルネームが記載されている。
- 【例】外国パスポート:名 Kai David、日本パスポート:名 Kai(David)



私は、フランス人夫と結婚後、日本への婚姻届提出時に「氏の変更届」を出していないので、日本での苗字は旧姓のまま。私と同じ戸籍に入っている子供たちの日本での苗字は私の旧姓。
なので、うちの子たちは①のパターンです。
(本当は、①よりも、2つのパスポートの所有者が同一人物であることの証明がしやすい②のパターンが理想。)
氏名表記が異なる2つのパスポートで旅行しても大丈夫?


アメリカと日本のパスポートで氏名の表記が異なる場合について、在日米国大使館のホームページに次のQ&Aがあります。
Q. 二重国籍なのですが、米国のパスポートと外国籍のパスポートの名前が異なります。異なる名前のパスポートで旅行をしても大丈夫ですか?
A. アメリカの法律により、二重国籍の有無に関わらず、アメリカ人は米国の出入国の際に米国のパスポートを使用しなければならないことになっています。
2冊のパスポートの名前の相違に関して特に問題になることはないと認識しておりますが、渡米する際は必ず有効期限内の米国及び外国籍のパスポートを所持して頂くようお願いいたします。
また、事前にご利用される航空会社にご相談していただくことをおすすめいたします。
引用:在日米国大使館「二重国籍 – よくある質問」
というわけで、日米間の往復については日本とアメリカのパスポートの氏名表記が違っても問題ないようです。
実際、我が家の子供たちの日本とフランスのパスポートの氏名表記は違いますが(前章の①、苗字が違うパターン)、これまで2つのパスポートでフランス発日本行き往復、カナダ発日本行き往復などした際に問題になったことは一度もありません(ちなみに、我が家では日本往復時のみ2つのパスポートを使用。無用なトラブルを避けるため、日本から第三国へ旅行する際は日本パスポートのみ使用、フランスから第三国へ旅行する際はフランスパスポートのみ使用)。
それでは、次章から、二重国籍で2つのパスポートの名前が違う場合、どちらのパスポート氏名に合わせて航空券を予約すべきなのかみていきましょう。
アメリカ、カナダを例に(アメリカ・カナダから日本へ往復する場合、また逆に、日本からアメリカ・カナダへ往復する場合を例に)話を進めますね。
航空券予約 (搭乗時) に使用するパスポートと出入国時に提示するパスポートは違っても大丈夫?
日本の出入国と航空券予約
アメリカ(カナダ)のパスポート氏名に合わせて往復航空券を予約した場合、日本の出入国審査時にもアメリカ(カナダ)のパスポートを提示しないといけない、と考えている方がおられます。
あるいは逆に、日本の出入国審査時に日本のパスポートを提示しなければならないので日本のパスポート氏名に合わせて往復航空券を予約しないといけない、と考えている方もいらっしゃるようです。
ですが、日本の出入国については、「航空券予約(搭乗時)に使用するパスポート」と「出入国審査時に提示するパスポート」は別のものと考えることができます。
出入国在留管理庁のインフォメーションセンターにメール(info-tokyo@i.moj.go.jp)で確認しましたが、その時のやり取りは次の通りです。
(私の質問)
二重国籍の子供で2つパスポートがあります。2つのパスポートに記載されている氏名が違う場合、どちらの氏名で航空券を予約すれば、日本入国に問題がないでしょうか。
(回答)
航空券は上陸審査の必要資料ではなく、どちらの名前で予約しても差し支えありません。
出入国在留管理庁インフォメーションセンターへの私の質問と回答(2021年4月9日)



確かに、日本の入国審査時に日本のパスポートを提示して入国(帰国)する場合、航空券の提示を求められたことはないですね。
パスポートに挟んで航空券を出したこともありましたが、審査官は航空券は一切見ていませんでした。
アメリカ・カナダの出入国と航空券予約
日本の出入国と同様、アメリカ・カナダの出入国に関しても「航空券は上陸審査の必要資料ではなく、どちらの名前で予約してもよい」と考えられると思います。
(残念ながら、アメリカ・カナダの出入国に関しては、日本の出入国在留管理庁からもらえたような明確な回答はどこからももらうことができませんでした。ですが、のちほどご紹介する各航空会社や在日アメリカ領事館の回答から、どちらの国のパスポート氏名で航空券を予約してもよいことが推測できます。)
アメリカ人(重国籍者含む)は必ずアメリカのパスポートで、カナダ人(重国籍者含む)は必ずカナダのパスポートで自国に出入国しなければならないことが法律で定められています。
日本の場合は、法律で定められてはいても、実際アメリカやカナダのパスポートで日本に入国しても問題になっていないのが現実ですが、アメリカ人やカナダ人が自国に他国のパスポートで入国するとトラブルになる可能性があります。
詳しくは、別記事(ひとつ上でご紹介している記事と同じ)にまとめています。
【アメリカ・カナダから出発】二重国籍で2つのパスポートの氏名が異なる場合、どっちの氏名で航空券を予約すべき?


アメリカ(カナダ)在住で、アメリカ(カナダ)から日本に一時帰国し、またアメリカ(カナダ)に戻ってくる場合は、アメリカ(カナダ)のパスポートの氏名表記に合わせて往復航空券を買うのが一般的です。
実際、私がカナダに住んでいた時、私のまわりの二重国籍者(日本とカナダ)は、皆さんカナダパスポートの氏名表記に合わせて航空券を買っておられました。
アメリカで日本への里帰り航空券を販売している旅行代理店も次のように案内しています。
Q. 二重国籍の場合はどちらのパスポートの名前で予約すればいいですか?
A. 原則的には居住国のパスポートをご利用いただきますので、米国のパスポートをお持ちで、米国に居住されている方は、米国のパスポートに記載されているお名前でご予約ください。
引用:旅行代理店@たびっと「よくある質問 – お子様連れや家族旅行に関する質問」(※2023年1月10日現在リンク切れ)
日本の出入国在留管理庁からの回答にもあった通り、アメリカ(カナダ)のパスポートの氏名表記に合わせて航空券を買った場合でも、「航空券予約・搭乗に使用するパスポート」と「日本出入国時に提示するパスポート」は同じでなくてよいので、日本の出入国審査時には日本のパスポートを提示し、日本人として入国(帰国)し日本人として出国します。
【日本から出発】二重国籍で2つのパスポートの氏名が異なる場合、どっちの氏名で航空券を予約すべき?


アメリカ(カナダ)から日本への往復航空券を購入する場合はアメリカ(カナダ)のパスポートの氏名表記に合わせて航空券を購入するというのが一般的ですが、皆さんが混乱されるのが日本からアメリカ(カナダ)への往復航空券を購入する場合のようです。
というわけで、各航空会社に次の質問を投げてみました。
- アメリカ・日本の二重国籍者が日本からアメリカに行く場合、米日どちらのパスポート氏名で往復航空券を予約すべきですか。どちらでもよいなら、どちらがスムーズですか。(ネットで調べたところ、ほとんどの方が、日本から出発される場合でも、アメリカのパスポートで航空券を予約されているようです。)
- カナダ・日本の二重国籍者が日本からカナダに行く場合、カナダと日本どちらのパスポート氏名で往復航空券を予約すべきですか。どちらでもよいなら、どちらがスムーズですか。
結論から言うと、「どちらのパスポート氏名表記に合わせてもよい」「お客様判断」という航空会社と、「アメリカ(カナダ)でのスムーズな出入国のためにアメリカ(カナダ)パスポートの氏名表記に合わせて予約した方がよい」という航空会社に分かれました。



では、これから各航空会社からの回答をご紹介しますね。
ANAの回答「お客様判断」
二重国籍の場合の使用するパスポートについて、お客様のお持ちの書類・資格・目的や渡航先の国によってご事情が変わってくるため、弊社からは事前にご案内ができません。
出入国時のトラブルにおいて弊社では責任が負えないためご希望に沿わないご回答になり大変恐縮ですが、入国管理局、外務省、大使館等に諸条件をご確認のうえ、最終的にどのパスポートを使用するかご判断いただきますようお願い申し上げます。
なお航空券は原則使用するパスポートと搭乗者名は一致している必要がございます。
引用:ANA国際線担当者からのメールでの回答(2021年7月10日)
JALの回答「お客様判断」
米国と日本、カナダと日本、どちらの場合においても、二重国籍のお客さまでパスポートを2つお持ちの場合は、搭乗時にご利用されるパスポートに表記されたお名前で国際線航空券をお申し込みいただきます。
どちらのパスポートをご利用されるかは、お客さま自身で決めていただき、当日空港カウンターでご提示くださいますようお願いいたします。
またどちらのパスポートが出入国の際にスムーズか、明確なご案内をいたしかねます。
何卒ご理解を賜りますようお願い申し上げます。
引用:”JAL eコンタクトセンター” <jal-websupport@ask.jal.co.jp> からのメールでの回答(2021年7月10日)
JALのホームページにも次の案内があります。
Q: 二重国籍の場合はどちらのパスポート名(パスポート情報)で予約をすればいいですか。
A: ご搭乗時にご利用になるパスポートのお名前(パスポート情報)でご予約ください。
各国の取り決めなどにより、ご利用いただくパスポートが指定されている場合がございますので、事前に大使館などの関係当局へご確認ください。
引用:JAPAN AIRLINES「国内線・国際線・JALマイレージバンクに関するQ&A」
アメリカン航空の回答「どちらでもよい。お客様判断」
日本発着のアメリカ往復便の場合、アメリカン航空としては、アメリカのパスポートと日本のパスポートのどちらのパスポートの氏名表記に合わせて航空券を予約してもよい。あくまでお客様判断。
アメリカン航空(日本03-4333-7675)の回答(2021年7月15日)
デルタ航空の回答「どちらでもよい。お客様判断」
日本発着のアメリカ往復便の場合、アメリカパスポートの氏名に合わせて航空券を予約しても、日本パスポートの氏名に合わせて航空券を予約しても、どちらでもよい。
デルタ航空が確認するのは、提示されるどちらかのパスポートと航空券に記載された氏名が完全に一致していること。
どちらのパスポートの氏名で航空券を予約するかはあくまでお客様判断。
デルタ航空(日本050-3850-8388)の回答(2021年7月15日)
「実際、アメリカと日本、どちらのパスポートの氏名表記に合わせて航空券を予約している人が多いですか?」と聞いてみたら、日本在住者の場合、スカイマイルの登録氏名に合わせて、日本のパスポート氏名で航空券を予約している人の方が多いとのこと。



確かに、航空券の予約氏名とマイレージカードの登録氏名が違うとマイルが積算されないんですよね。
「(デルタ航空が日本のパスポート氏名に合わせて航空券を予約するように案内したと)誤解していただきたくないのですが」とおっしゃりながらも教えてくださいました。
ただ、その場合は、空港でのチェックイン時にアメリカのパスポート情報を登録する必要があるとのことです。
ユナイテッド航空の回答「アメリカパスポートの氏名表記に合わせて予約を」
アメリカ・日本間を旅行する場合、アメリカ発着でも日本発着でも、アメリカのパスポートに記載されている氏名で航空券を予約してください。
アメリカのパスポートと航空券の氏名表記が一致していた方がアメリカからの出国がスムーズです。
アメリカパスポートの氏名表記に合わせて航空券を買った場合でも、皆様、日本入国審査時には日本のパスポートを提示して問題なく入国されています。
ユナイテッド航空(日本03-6732-5011)の回答(2021年7月15日)
エアカナダの回答「カナダパスポートの氏名表記に合わせて予約を」
もしカナダのパスポートに記載されている氏名に合わせて航空券を買って日本入国時に問題がないようなら、カナダ発の場合も日本発の場合も、カナダの出入国がスムーズになるよう、カナダのパスポート氏名に合わせて航空券を予約した方がよい。
エアカナダ(北米+1-514-369-1309)の回答(2021年7月15日)



外国人職員が「I would say …」という感じで回答してくれたのが気になりました(個人の考えだと思われるような回答の仕方ではなく、会社として回答してほしい...)。
「日本の入国についてはわからないが、もし日本入国時に問題にならないなら」という前提での回答ですが、前述した通り、日本では航空券は上陸審査の必要資料ではないので、カナダパスポート氏名に合わせて航空券を予約したことが日本の出入国審査時に問題になることはありません。
【在日アメリカ領事館に聞いてみた】二重国籍で2つのパスポートの氏名が異なる場合、どっちの氏名で航空券を予約すべき?
航空会社の回答は「どちらでもよい」「お客様判断」というところと「アメリカ(カナダ)の氏名表記に合わせて航空券を予約した方がよい」というところがあり、また、ANAとJALの回答に「大使館などの関係当局に確認するよう」案内があったこともあり、念のため在日アメリカ領事館に問い合わせてみました。
(私の質問)
日米二重国籍で、日本のパスポートと米国パスポートで氏名表記が違います。
日本出発で米国への往復航空券を購入する場合、米国パスポートの氏名表記に合わせて購入すべきですか。日本パスポートの氏名表記に合わせて購入すべきですか。
JAL、ANAに問い合わせたところ「お客様次第」「国によって違うので、大使館などに相談してください」と言われました。
(回答)
残念ながらこちらでは個別の状況は分かりません。
こちらもお問い合わせがあれば、航空会社と相談されることをお勧めしています。
航空会社からも「お客様次第」と言われたのであればそれに従ってよろしいかと思います。
福岡アメリカ領事館・領事部
引用:福岡アメリカ領事館からのメールでの回答(2021年7月16日)
もし日本のパスポートの氏名表記に合わせて航空券を買ったことでアメリカ出入国時にトラブルになる可能性が大きいようであれば、アメリカ領事館も上記のような答え方はしないのではないかと思います。
【結論】どっちのパスポートの氏名で航空券を予約してもよいが、注意点が2つ


航空会社やアメリカ領事館に問い合わせた結果、結局、日本・アメリカ(カナダ)間の航空券については、アメリカ(カナダ)のパスポート、日本のパスポート、どちらのパスポートの氏名表記に合わせてもよいということがわかりました。
ただ、アメリカにもカナダにも電子渡航認証システム(米国ESTA、カナダeTA)があったりしますし入国審査が厳しいです。
また、アメリカもカナダも出国審査がなく、航空会社が出国手続きを代行しています。
そういったことを考慮すると、ユナイテッド航空やエアカナダが言うように、アメリカ・カナダ出発で往復する場合でも、日本出発で往復する場合でも、アメリカ・カナダのパスポートの氏名表記に合わせて航空券を予約した方が、航空会社の手間も少なく、アメリカ・カナダの出入国情報の整合性が取れやすく、よりスムーズなのかなと思います。
ただ、どちらのパスポートの氏名表記に合わせて航空券を予約するにせよ、注意点が2つあります。
- 搭乗時に使用するパスポートの氏名表記と航空券の氏名表記が完全に一致している必要がある。
- 渡航先の入国・滞在資格をきちんと提示しなければならない。
【注意点①】パスポートと航空券の氏名表記は完全一致が原則
注意点のひとつ目。搭乗時に使用するパスポートと航空券の氏名表記は完全に一致している必要があります。
この点については、各航空会社に問い合わせを行った際に念押しされました。
航空券を予約する時に名前を少しでも間違ってしまった場合の航空会社の対応はまちまちですが、買い直しになってしまう場合や、名前の訂正に数千円の手数料が必要になってしまう場合も多いですので、注意しましょう。
日本のパスポートの括弧内の名前は航空券の予約名に含める? 含めない?
アメリカやカナダのパスポートの氏名表記に合わせて航空券を予約する場合は頭を悩ませる必要はないですが、日本のパスポートの氏名表記に合わせて航空券を予約する場合で括弧内に別名が記載されている場合は注意が必要です。
日本のパスポートは、在住国で使用しているファミリーネームや在住国で登録しているけれど日本には届けていないミドルネームなどを括弧内に記載できる「別名併記制度」を採用しています。
これは世界標準ではない、日本独自のシステムです。
もし日本のパスポートの氏名表記に合わせて航空券を予約する場合(括弧内に名前がある場合)、あとで面倒なことにならないよう、念のため利用予定の航空会社に括弧内の名前を航空券の予約名に含めるかどうか確認してから予約しましょう。
【注意点②】渡航先の入国・滞在資格をきちんと提示する
例えば、アメリカ(カナダ)国籍と日本国籍をもつ重国籍者が、日本発アメリカ(カナダ)行きの往復航空券を日本のパスポートの氏名表記に合わせて購入した場合。
アメリカもカナダも、永住権や就労・学生ビザなどを持たない場合電子渡航認証システム(米国ESTA、カナダeTA)の事前取得が必要な国ですが、国籍を持っている人はそういった電子渡航認証システムは取得できないことになっています。
その代わりに、日本の空港でのチェックイン時に、日本のパスポートだけでなく、有効なアメリカ(カナダ)のパスポートも提示する必要があります(アメリカ(カナダ)の入国・滞在資格があるということを示す必要があります)。
また、アメリカ(カナダ)では出国審査がなく航空会社が出国審査を代行しますが、その際、アメリカ(カナダ)の出入国情報の整合性が取れるようアメリカ(カナダ)のパスポートも提示する必要があります。
ここで大切なのが、2つのパスポートが同一人物のものであると認められるかどうかということ。
稀なケースだとは思うんですが...
日本発カナダ行きの往復航空券(北米の航空会社)を日本のパスポートの氏名表記に合わせて買った、日本とカナダの重国籍者。
日本の空港でのチェックイン時に、2つのパスポートの氏名表記があまりに違い過ぎて、同一人物だと認めてもらえず、カナダに入国できない恐れがあると判断され、日本からの飛行機に乗せてもらえなかったというトラブルに遭った人の話を聞いたことがあります。
万が一その人がカナダに入国できなかったら、航空会社の責任で日本まで連れ帰らないといけなくなってしまうので、航空会社はチェックイン時にカナダの入国・滞在資格を持っているかどうかしっかり確認しています。



こんなトラブルにあわないよう、2つのパスポートの氏名表記があまりにかけ離れたものにならないよう、別名併記システムをうまく利用したいですね。
二重国籍で2つのパスポートの名前が異なる場合の航空券予約についてのまとめ
二重国籍で2つのパスポートの名前が違う場合、どちらのパスポート氏名に合わせて航空券を予約すればよいのかについて、アメリカ、カナダの場合を例に取り、関係機関に問い合わせたり調べたりした結果をお伝えしました。
通常は、日本・アメリカ(カナダ)間の航空券については、アメリカ(カナダ)のパスポート、日本のパスポート、どちらのパスポートの氏名表記に合わせてもよいということがわかりました。
ただ、アメリカ(カナダ)には電子渡航認証システム(米国ESTA、カナダeTA)があったりと入国審査が厳しめです。また、アメリカもカナダも出国審査がなく、航空会社が出国手続きを代行しています。
そういったことを考慮すると、ユナイテッド航空やエアカナダが言うように、アメリカ・カナダ出発で往復する場合でも、日本出発で往復する場合でも、アメリカ・カナダのパスポートの氏名表記に合わせて航空券を予約した方が、航空会社の手間も少なく、アメリカ・カナダの出入国情報の整合性が取れやすく、よりスムーズなのかなと思います。
ただ、マイレージカードの登録氏名と航空券の予約氏名が一致しないとマイルは積算できませんし、個々人のご事情もありますよね。
どちらのパスポート氏名に合わせて航空券を予約するにせよ、大切なのは次の2点です。
- 搭乗時に使用するパスポート氏名と航空券の予約氏名が完全に一致している(日本のパスポート氏名に合わせて航空券を予約される場合で、括弧内に氏名表記がある場合は、括弧内の名前を予約名に含むかどうか、利用予定の航空会社に確認してから予約する)
- 渡航先の有効な入国・滞在資格を持っている(渡航先国のパスポートと日本のパスポート、2つのパスポートの氏名があまりにかけ離れている場合は要注意)
というわけで、「絶対こっちのパスポート氏名に合わせて予約すべき!」という結論にはなりませんでしたが、「どっちのパスポートの氏名に合わせて航空券を予約したらいいんだろう??」とお悩みの方の参考にしていただけましたら幸いです。
最後までお読みいただき、どうもありがとうございました!