こんにちは。フランス在住のKokoです。
2年半以上ものあいだ一時停止されていたビザ免除措置が(やっと)2022年10月11日以降再開になりましたね!
「外国人夫(妻)の短期滞在ビザを取得する必要がなくなったし、子供も日本以外のパスポートで日本に入国できるようになった(←法律違反ではありますが...)から、いよいよ日本へ行こう!」と日本への一時帰国を計画している方も結構おられるのではないかと思います。
さて、一時帰国時に日本国内をあちこち旅行するなら、JRパス(ジャパン・レール・パス)がお得で便利ですよね。
私はコロナ前の2019年夏に家族4人で里帰りし、その時に7日間有効のJRパスを購入し日本国内(東京~広島間)をあちこち旅行しましたが、4万円ぐらいお得に旅行できました!
そんなJRパスですが、お子さん(特に重国籍のお子さん)の利用について色々疑問に思われることがあると思います。

JRパスの販売店からは、二重国籍のうちの子は外国パスポートで日本に入国するよう案内を受けたけど...
日本パスポートで入国したらJRパスは使えないってことよね?



子供が日本のパスポートで入国する場合は、大人と同じように海外に10年以上住んでるっていう書類が提示できればいいんじゃない?
(あ、でも、子供が10歳未満の場合はどうなるんだろう?)



実際、重国籍のお子さんたちは、日本パスポートと外国パスポートのどっちで入国してるのかな?
本記事では、このような疑問にお答えします。
JRパスの子供料金のルール
JRパスの子供料金は何歳から何歳まで?
パスのこども料金はWeb販売サービスでの購入日、引換証の発行日及び日本国内窓口での購入日において6歳から11歳までの児童に適用されます。
引用:JAPAN RAIL PASS「JAPAN RAIL PASSとは?」
つまり、JRパスの料金規定では 6歳から11歳までが子供料金 です。
ご参考までに、海外のJR指定販売店・代理店で購入する場合の、JRパスの大人料金と子供料金は下表の通り。
JRパスの子供料金は大人料金の半額(5円以下は切り捨て)です。
種類 | グリーン | グリーン | 普通 | 普通 |
---|---|---|---|---|
区分 | おとな | こども | おとな | こども |
7日間 | ¥39,600 | ¥19,800 | ¥29,650 | ¥14,820 |
14日間 | ¥64,120 | ¥32,060 | ¥47,250 | ¥23,620 |
21日間 | ¥83,390 | ¥41,690 | ¥60,450 | ¥30,220 |
(2023年2月現在)
JRパスは海外のJR指定販売店・代理店で買うのが一番安いです(いずれにせよ、海外在住日本人は、外国人のように、Web販売サービスや日本国内窓口では購入できません)。
JRパスの子供料金は購入日基準? 引換日基準? 乗車日基準?



上の「こども」の年齢は、どの時点での年齢ですか?
①海外のJR指定販売店・代理店でのJRパス引換証購入時点での年齢?
②日本のJR窓口でのJRパスへの引換時点での年齢?
③乗車時点での年齢?
再度JRパスの子供料金規定を見てみましょう。
パスのこども料金はWeb販売サービスでの購入日、引換証の発行日及び日本国内窓口での購入日において6歳から11歳までの児童に適用されます。
引用:JAPAN RAIL PASS「JAPAN RAIL PASSとは?」
現在、JRパスの購入方法は次の3通り。
- オンライン(Web販売サービス)で購入 ※外国人のみ購入可(2020年に始まった新システム)
- 海外のJR指定販売店・代理店で引換証を購入 ←海外在住日本人はこの方法でのみ購入可(外国人も購入可)
- 日本国内窓口で購入 ※外国人のみ購入可(2023年3月31日まで販売予定)
これら①~③のうちどの方法で購入しても、購入日でのお子さんの年齢が基準となります。
海外在住日本人は②の方法でしか購入できないため、おそらくほとんどの海外在住者は海外のJR指定販売店・代理店でJRパス引換証を購入されていると思いますが、その場合、(厳密に言うと、購入日というより)海外の販売店・代理店によってJRパス引換証が発行された日におけるお子様の年齢により、適用料金が決まります。



じゃあ、子供がもう少しで12歳(大人料金)になるっていう時なら、11歳(子供料金)のうちにJRパス引換証を購入しておいたら半額で済むってことですね。



ただ、JRパス引換証の発行日から3ヶ月以内に、日本のJRパス引換所で、使用開始日(JRパスの交付日から1ヶ月以内)を指定して、JRパスに引き換える必要があります。
あまりに早く購入し過ぎると日本で引き換えられなくなってしまいますし、海外の販売店・代理店での払い戻しには10%の手数料がかかってしまいますからご注意くださいね。
JRパスの子供料金規定は、日本の一般的な子供料金規定と違う!
実は、「日本で普通にJRの切符を買う時の子供料金規定」と「JRパスの子供料金規定」は少し違います。
場合の子供料金規定
子供料金規定
「こども」料金は「おとな」料金の半額、「幼児」は無料です。
※JR東日本のページ「きっぷあれこれ」で、日本で普通にJRの切符を買う場合の子供料金規定が確認できます(他のJRも確認しましたが、どのJRもJR東日本と規定は同じです)。
なぜ料金規定の違いがあるのか疑問に思い、JRに問い合わせてみたところ、JR西日本から次の回答がありました。
通常のきっぷをお求めいただく際には、こどものきっぷについては小児は「6才以上12才未満の者」と定められておりますが、一人ひとりの生年月日を確認してきっぷを発売することは困難であることから、一般的に小学生の児童は小児として扱うこととしております。
この小学校入学前の入学基準については、学校教育法施行規則において「学年は4月1日に始まり翌年3月31日に終わる」としております。
学校教育法における小学校に限りますので、外国の学校は対象になりません。
そのため、外国からお越しのお客様の場合、海外の学校は対象にならないため、海外の学校に通学されている12才のお客様は小児運賃ではなく、普通運賃が必要となります。
何卒ご理解賜りますようお願いいたします。
西日本旅客鉄道株式会社 CS推進部 JR西日本お客様センターからの回答(2021年5月9日)



同じ年齢の子供でも、日本の学校に通っているか、外国の学校に通っているかで、JR料金が違ってくる場合があるなんて知りませんでした...
海外在住の二重国籍者がJRパスを使うには、どっちのパスポートで入国?


法律では日本パスポートで入国 (帰国) することになっている
法律では、日本人(重国籍者含む)は、日本のパスポートを提示して日本人として日本に入国(帰国)しなければならないと定められています。例えば、アメリカと日本の重国籍者は、アメリカの出入国にはアメリカのパスポートを使い、日本の出入国には日本のパスポートを使うというのが正しいパスポートの使い方です。
ただ、日本パスポートで入国 (帰国) するとJRパスが利用できない場合がある
ただ、日本のパスポートで日本に入国(帰国)するとJRパスを利用できない場合があります。
例えば、こちらの方。
先日、二重国籍である私の娘(妻も日本人)が、こちらアメリカでJRパスを購入し日本に着いた際に日本人パスポートで入国したためJRパスを引き換えできませんでした。
入国管理では二重国籍保有者は日本のパスポートで入国しなさいと指示しているのにJRパスの規約では外国籍として入国しないとパスは引き換えできませんと規約に明示されてます。
国の機関である入国管理局で定めている事よりもJRの規約を重視すれば違法となるのではないでしょうか?
引用:ジャパン・レール・パスを考える在外邦人の会 (2018年5月25日の投稿)
このケースでは、日米二重国籍の娘さんは、もし日本にアメリカパスポートで入国していれば(←入国管理法を遵守していないことになりますが)、日本でJRパスを使うことができました。
JRは、外国のパスポートで入国した人については、パスポートに「短期滞在」のスタンプ/シールがあることを確認した上でJRパスに引き換えます。
または、もし娘さんが海外在住日本人としてのJRパス利用資格を満たしているのであれば、アメリカを発つ前に管轄の大使館・総領事館で証明書類を入手していれば、日本のパスポートで入国(帰国)してもJRパスを使うことができました。
JRは、日本のパスポートで入国(帰国)した人については、海外在住日本人としての利用資格(を満たしていることの証明書類)を確認した上でJRパスに引き換えます。
JRパスの引き換えに関して言えば、どこの国のパスポートを提示して日本に入国したかがすべてです。



日本入国後にいくらアメリカパスポートを提示して「実は日本とアメリカの重国籍者なんだ」と説明したところで、「ああ、そうでしたか、それではJRパスに引き換えますね。」ということにはなりません。
重国籍者のJPパス利用についてJRはどう言ってる?
ちなみに、この方、「JRパスの規約では外国籍として入国しないとパスは引き換えできませんと規約に明示されてます」と書かれていますが、(当時のことはわかりませんけれども)現在のJRパス規約にはそのような内容はありません。海外のJR指定販売店・代理店からそのような説明を受けられたのだと思います。
現在のJRのHPでは、重国籍者のJRパス利用について次のように案内されています。
<日本国と日本国以外の両方の旅券を有する方について>
日本国の入国管理法上、「日本の旅券」での入国確認が行われます。
その場合は、日本国の旅券及び「在留期間が連続して10年以上であることを確認できる書類で、在外公館で取得したもの等」が必要となります。
引用:JAPAN RAIL PASS「JAPAN RAIL PASSとは?」
つまり、海外在住日本人としてのJRパス利用資格を満たしていることが証明できる書類が提示できさえすれば、日本のパスポートで入国してもJRパスを利用できるということです。
海外のJR指定販売店・代理店はどう案内してる?
ただ、海外でJRパス引換証を販売しているJR指定販売店・代理店のHPを見ると、
日本国籍と外国籍をもつ重国籍者は、外国のパスポートで入国してください。
日本のパスポートのほかに、日本以外のパスポートをお持ちの方で、ジャパンレールパスの利用を希望される場合、 日本に入国する際には、日本のパスポートを使わず、外国籍のパスポートを使用して、外国人として入国いただき、 「短期滞在」の在留資格を得られれば引換ができます。
のように堂々と案内しているところが結構あります。
実際、引換証購入時にそのような説明を受けることが多いです。
(注:日本にノービザで入国できる国のパスポートに限りますが。)



代理店にとっても外国人として入国してもらった方が手続きがシンプルで、日本で確実にJRパスに引き換えできるからだと思います。
それでは、外国パスポートで入国した場合、日本パスポートで入国した場合、それぞれの場合のJRパス引換時に提示する書類などをみていきましょう。



JRパスを利用するという理由であっても、日本人(重国籍者含む)が日本のパスポートでなく外国パスポートで日本に入国するというのは法律違反です。
(この点を頭に入れていただいた上で、話を進めますね。)
外国パスポートで入国した場合のJRパス引換手続き
外国パスポートで入国した場合は、日本でのJRパス引換時に、入国審査官によってパスポートに貼られた「短期滞在」のシールを見せればいいだけです。





JRパスへの引換時、JR窓口の職員さんは「短期滞在ですね~」と言いながら、このシールをしっかり確認されていました!
入国の際、自動化ゲートには注意してくださいね。
自動化ゲートを使用する際は、パスポートにスタンプ/シールが押されませんので、有人の自動化ゲートをご利用いただくか係員にお申し出のうえ、スタンプ/シールを受けてください。ただし、トラスティド・トラベラー・プログラムによる「特定登録者カード」を所持するお客さまは、カードのご呈示にて「短期滞在」を確認させていただきます。
引用:JAPAN RAIL PASS「JAPAN RAIL PASSとは?」
日本パスポートで入国した場合のJRパス引換手続き
一方、日本のパスポートを提示して日本人として入国し、JRパスに引き換えるには、下記のように「在留期間が連続して10年以上であることを確認できる書類で、在外公館で取得したもの等」の提示が必要になります。
<日本国と日本国以外の両方の旅券を有する方について>
日本国の入国管理法上、「日本の旅券」での入国確認が行われます。
その場合は、日本国の旅券及び「在留期間が連続して10年以上であることを確認できる書類で、在外公館で取得したもの等」が必要となります。
基本的に在留期間が10年に満たない小児の方は引換証のお買い求め及びパスへの引換はできません。
(一部例外はございます。)
引用:JAPAN RAIL PASS「JAPAN RAIL PASSとは?」
- 「在留期間が連続して10年以上であることを確認できる書類で、在外公館で取得したもの等」とは何か?
- 海外在住10年以上でも利用資格を満たさない場合とは?
- 申請方法は?
などについては別記事で詳しく説明しています。
ちなみに、上のJRの案内文中に
基本的に在留期間が10年に満たない小児の方は引換証のお買い求め及びパスへの引換はできません。
(一部例外はございます。)
とありますが、在留期間が10年に満たない12歳未満のお子様に限り、次の例外が認められています。
ただし、在留期間が10年に満たない小児(12歳未満)の方(旅券の生年月日欄で12歳未満と確認できる方)は、一通の在留届の写しにおいて「在留期間が連続して10年以上である方」と同居していることが確認でき、かつその方と一緒にジャパン・レール・パスを利用する場合はご利用資格を満たします。
小児(12歳未満)の方単独の「在留届の写し」の場合は、在留期間が10年に満たない時はご利用資格を満たしません。
引用:JAPAN RAIL PASS「利用資格② – 海外在住の日本人で、下記条件を満たす者」
もう少しわかりやすく書くと、以下の3つの条件を満たせば、在留期間が10年に満たない12歳未満のお子さんが日本パスポートで日本に入国(帰国)してもJRパスに引き換えできるということです。
- 海外在住日本人(例えば日本人母)が「在留届の写し」によって10年の在留期間を証明できる。
- ① の「在留届の写し」の「同居家族」欄に12歳未満のお子さんの情報を記載してもらっている(未成年であっても、申請時に「個人情報提供に関する同意書」に署名しないと記載してもらえないので注意)。
- 海外在住日本人(例えば日本人母)と12歳未満のお子さんが日本でいっしょにJRパスを利用する。



ややこしいですよね...
「面倒だから、今回は外国パスポートで日本に入国させよう」という人も出てくるのではと思います。
二重国籍者は実際どっちのパスポートで入国してる?



(日本にノービザで入国できる外国籍保持者に限りますが)外国のパスポートを提示して日本に入国し、JRパスを利用している重国籍者が少なくないんじゃないかと思います。
私がそう考える理由は次の通り。
- 海外のJR指定販売店・代理店の多くが、(おそらく手続きをシンプルにしトラブルを避けるためだと予想しますが、)「日本国籍と外国籍をもつ重国籍者は外国のパスポートで日本に入国する」よう案内している。よって、深く考えずにその案内に従っている。
- 自分自身(日本人父や日本人母)は、アメリカやカナダの永住カードで10年以上の海外在住歴を証明できるので、わざわざ大使館・総領事館に行って証明書類を入手しなくてもJRパスを利用できる。子供だけのために「在留届の写し」を申請するのは面倒。
- 10年の在留期間を証明できない海外在住日本人(海外在住歴が10年に満たない人、または、国をまたいで引っ越ししているため「ひとつの国で連続して10年在留している」ことを証明できない人)は、自分自身はJRパスが使えなくても、重国籍の子供は外国(日本にノービザで入国できる国)のパスポートで日本に入国すればJRパスを使える。



カナダ在住時代、まわりの重国籍のお子さんたちはカナダパスポートで入国してJRパスを使っている人が多かった印象です(コロナ前だったので、そもそも日本パスポートを作っていない人も結構いましたが)。
まとめ
最後に、本記事の内容をまとめておきます。
- JRパスの子供料金は6歳~11歳(JR指定販売店・代理店での引換証発行日時点での年齢)。子供料金は大人料金の半額。
- JRパスの子供料金規定は、日本で普通にJRの切符を購入する場合の子供料金規定と少し異なる。
- ネット上には「日本の法律に従って日本に日本のパスポートで入国(帰国)したがためにJRパスの引換ができなかった」という声がある。日本のパスポートで入国したらJRパスを利用できないというわけではない。日本のパスポートで入国しても、パス引換時に「在留期間が連続して10年以上であることを確認できる書類で、在外公館で取得したもの等」を提示できればJRパスを利用できる(12歳未満の子供については条件付きで例外が認められている)。
- 外国(日本にノービザで入国できる国)のパスポートで入国すると、JRパス引換時に「短期滞在」のスタンプ/シールを確認されるだけ。引き換え手続きがシンプル。
- 重国籍者が日本のパスポートではなく外国のパスポートで入国するのは法律違反。だが、日本のパスポートで入国するとJRパスが使えないケースがあるので、外国のパスポートで入国している人が少なくないと思われる。実際、重国籍者は日本パスポートではなく外国パスポートで入国するように案内している海外のJR指定販売店・代理店が結構ある。
最後までお読みいただき、どうもありがとうございました!
お役に立てましたら幸いです。