在外選挙の投票方法は3通り! 大使館・総領事館での投票ってどんな感じ?

大使館や総領事館での在外公館投票はこんな感じで行われる!
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こんにちは!フランス在住のKokoです。

Koko

私は20年以上前に最初に大使館に行った時に在外選挙のことを知り、案内されるまま在外選挙名簿登録申請を行いました。
それ以降(総領事館がかなり遠かった時期を除いて)、衆議院選挙、参議院選挙が行われる度に、大使館・総領事館に足を運んで投票してきました。

Koko

また、在外公館(=海外にある大使館や総領事館)で、在外選挙事務のアルバイトをした経験もあります(複数回)。

さて、初めて海外で日本の選挙に投票する場合、色々疑問に思うことがありますよね。

在外選挙人名簿登録申請をして、在外選挙人証を入手したんだけど...
海外からはどんな方法で投票できるのかな?
インターネット投票導入について日本で検討されてるって聞いたけど?

大使館(総領事館)に行って投票しようと思うんだけど、在外公館投票ってどんな感じなのかな?

本記事では、これらの疑問にお答えします。

海外で投票できるのは国政選挙(衆議院議員総選挙、参議院議員通常選挙、衆議院議員・参議院議員の補欠選挙および再選挙)、最高裁判所裁判官国民審査、憲法改正のための国民投票ですが、投票するには、事前に(遅くとも選挙の2~3ヶ月前に。人によっては6ヶ月前に)在外選挙人名簿登録申請を行い、在外選挙人証を入手しておく必要があります。

2023年2月、最高裁判所裁判官国民審査法の一部を改正する法律が施行され、海外に住む私たちも最高裁判所裁判官国民審査(衆議院選挙と同時に行われます)に投票できるようになりました!

【ご参考】総務省:なるほど!「最高裁判所裁判官国民審査制度」

現在のところ、残念ながら、インターネット投票はできません。インターネット投票については、総務省で実証実験を行い、検討を進めているところだそうですが、いち早い導入が望まれますね。

現在の投票方法は次の3通り。

  • 在外公館投票
  • 郵便投票
  • 日本国内での投票

それでは、それぞれの投票方法についてみていきましょう!

特に、在外公館投票(大使館や総領事館での投票)は実際どんな感じで行われるのか、詳しく解説します。

  • 「在外選挙制度」について知りたい
  • 在外選挙人名簿登録申請をして在外選挙人証を入手するまでの流れ、所要日数を知りたい
  • 実際の在外選挙人証はどんなものなのか見てみたい

という方は、こちらの記事をお読みください。

クリックできる目次

投票方法その1: 在外公館投票 (大使館・総領事館での投票)

「在外公館投票」とは、大使館・総領事館などに設けられた投票所に自ら出向き投票するという、もっとも多くの人が行っている投票方法です。

投票期間、投票時間、持ち物

投票期間、投票時間、投票に必要な持ち物は、以下の通りです。

投票期間日本国内で選挙期日が公示・告示された日の翌日から開始
※投票日数が何日間設けられるかは、各大使館・総領事館によって異なる。
投票時間原則として、午前9時30分~午後5時(各大使館・総領事館によって異なる)
持ち物・在外選挙人証
・公的身分証(パスポート、運転免許証など)
Koko

私は、パスポートは大きいし、滞在許可証発行待ちの時に紛失してしまったら面倒なことになるので、身分証として日本の運転免許証を持って行きました(2021年秋)。
日本の運転免許証でも有効であれば大丈夫ですよ!

投票期間に土日が含まれている場合、土日でも投票できます。

各在外公館での投票期間などの詳細は、在留届を出している人に送られてくるメールや、大使館・総領事館のホームページで確認できます。

Koko

2021年衆院選時、在外公館投票のお知らせメールが来なくて投票日を逃してしまったという人のツイートを見ました。
私はこれまで一度もお知らせメールが送られてこなかった経験はないので、稀なケースだとは思うんですが、選挙が近づいたら時々HPもチェックしておくとよいですね。

例えば、在留届を出している人については、次のようなお知らせメールが送られてきます。

在外選挙の案内メール

すべての選挙について、すべての大使館・総領事館において在外公館投票が可能になるわけではありません。選挙によっては、A大使館には投票所が設けられるけれど、B総領事館には投票所が設けられない、ということもあり得ます。

在外公館投票の場合、在外選挙人証に記載されている住所が引っ越し前の旧住所のままでも問題なく投票できます。

詳しくは、次の記事をお読みください。

大使館・総領事館での投票の流れはこんな感じ

日本国内の投票と海外での投票は、様相が異なります。

例えば、大使館・総領事館に設けられた投票所には、日本国内で見られるような投票箱はありませんし、候補者一覧も貼りだされていません。海外の投票では、投票用紙を請求する手続きがあったり、在外選挙人証に押印してもらったり、封筒に選挙管理委員会の住所や名称を書いたりと手間が増えます。

Koko

在外公館投票が初めての人はとまどうかもしれませんが、会場ではほぼマンツーマンで教えてもらえるので大丈夫。

大使館・総領事館に設けられた投票所での投票の流れは、以下のような感じです。

会場が混み合ってなければ、所要時間は15分程度といったところでしょうか。

STEP
投票しに来た旨を告げる

まず、在外選挙人証と公的身分証(パスポートや運転免許証)を持参しているかの確認を受けます。

STEP
①投票用紙等請求書 ②国内送付用封筒 の2つに必要事項記入

①「投票用紙等請求書(在外公館等における在外投票)」

希望する「投票用紙等を請求する選挙」の種類にチェックを入れ、日付、氏名、在外選挙人証の交付番号を記入します。

投票用紙等請求書(在外公館等における在外投票)
(出典:e-Gov法令検索
例えば、衆議院議員総選挙の場合、小選挙区選挙と比例代表選挙の両方にチェックを入れてもよいし、片方だけにチェックを入れてもよい。

②国内送付用封筒(あなたの選挙管理委員会に投票用紙等を送付するための封筒)

あなたの選挙管理委員会の住所と選挙管理委員会名を記載します(どちらも在外選挙人証に記載してあるので、見ながら記載)。

STEP
係の人に必要書類を提出し、投票用紙等を受け取る

係の人に、次の4点を提出します。

  • 在外選挙人証
  • パスポートなどの公的身分証
  • 記入済の「投票用紙等請求書」
  • 記入済の国内送付用封筒

あなたが在外選挙人証を持つ本人であることの確認を受けた後、投票用紙等が交付されます。

「投票用紙等」というのは、

  • 投票用紙
  • 投票用紙を入れるための内封筒
  • 内封筒を入れるための外封筒

のことで、3つ揃ってワンセットです。

例えば、衆議院議員総選挙で、小選挙区選挙と比例代表選挙の両方に投票する場合は、「投票用紙+投票用紙を入れるための内封筒+内封筒を入れるための外封」のセットを2セットもらいます。(小選挙区選挙セットと比例代表選挙セットは色が違うので、混同することはありません。)

Koko

すでにこのあたりで頭がこんがらがりそうですが、係の人が丁寧に説明してくださるので、よく聞きましょう。

STEP
投票する

投票記載場所へ移動し、投票用紙に候補者名または政党名を記載します。

(投票記載場所には、候補者名・政党名の一覧が入ったファイルがあり、自由に閲覧できるようになっています。)

記載した投票用紙は、まず内封筒に入れてシールをはがして封をし、続いて、その内封筒を外封筒に入れてシールをはがし封をします。外封筒に必要事項を記入します。

STEP
係の人に投票用紙が入った外封筒を渡し、投票終了

投票用紙が入った外封筒を係の人に渡します。

係の人は、外封筒に必要事項が記入されていることを確認した上で、隣に座っている立会人に外封筒を渡します。

立会人は外封筒に署名をし、係の人に戻します。

係の人は、その外封筒を国内送付用封筒(あなたが STEP2 で選挙管理委員会の住所と選挙管理委員会名を書いたもの)に入れて封をし金庫(!)に納めます。

これで投票終了!

Koko

私は、在外選挙人証を入手してからずっと、大使館または総領事館の投票所で投票していますが、し~んと静まり返った会場で、係の人たち数名に見守られながら投票するというのは、毎度のことながら緊張してしまいます...

投票方法その2: 郵便投票

「郵便投票」とは、日本国内の選挙管理委員会(在外選挙人証記載の選挙管理委員会)に直接投票を郵送する方法です。

  • 最寄りの大使館・総領事館で在外公館投票が行われない(記載所が設けられない)
  • 大使館・総領事館から遠いところに住んでるので在外公館投票に行けない
  • 旅行や仕事などで投票期日に都合が悪く、在外公館投票に行けない

などといった場合に利用できる方法です。

郵便投票の場合、在外選挙人証に記載されている住所が引っ越し前の旧住所になっている場合は、投票用紙を受け取ることができません。まず、在外選挙人証記載の住所変更を行う必要があります。詳しくは別記事をお読みください。

郵便投票の流れ

郵便投票の流れ

郵便投票の場合、大使館・総領事館を一切通さず、在外選挙人と選挙管理委員会が直接やりとりします。

STEP
【選挙人→選挙管理委員会】「投票用紙等請求書」(2023年2月以降の新様式)と在外選挙人証を送付する

請求はいつでも可能です。

STEP
【選挙管理委員会→選挙人】投票用紙が交付される(在外選挙人証も返送される

衆議院議員総選挙または参議院議員通常選挙では任期満了の60日前、衆議院解散の場合には解散日から送付を開始します。

STEP
【選挙人→選挙管理委員会】記入した投票用紙を送付する

郵便投票についての詳細は、総務省作成の「在外投票の手引き」の「郵便投票」の項をご覧ください。

郵便投票はハードルが高い (時間もお金も手間もかかる)

郵便投票については、私のまわりの人は、こんなことを言っています。

海外でも投票したくて在外選挙名簿登録申請をしたけれど、郵便投票の手続きを調べてみたら面倒そうで、投票を諦めたわ。

選挙管理委員会から投票用紙などを取り寄せるまではやったけど、衆議院解散から公示、投票日までが結構短く、普通郵便だと期日までに投票用紙が届かないかもしれない。
国際宅配便で送ると高くつくから、途中で断念した。

ちなみに、投票用紙請求と投票用紙送付にかかる二度の国際郵便代は投票者負担負担です。

普通郵便より速く届く国際宅配便(DHLなど)や書留速達などを利用する場合は、国によっては1万円以上かかることも...

手間もかかります。

それに加え、海外の郵便事情では、届かなかったり、遅延したり、ということもあり得ます。

Koko

2021年衆院選は選挙日程が前倒しになった上に、コロナのため世界的に郵便事情が悪く、郵便投票希望者には非常に厳しい状況でした...
正直、なんとしてでも投票したいという、モチベーションがかなり高い人しか投票できないシステムになっていますよね。

投票方法その3: 日本国内での投票

  • 選挙の時期にたまたま一時帰国することになった人
  • 帰国後間もないため日本国内の選挙人名簿にまだ登録されていない人(住民登録後3ヶ月以内の人)

は日本国内で投票できます。

日本国内で「在外選挙人証」を提示して、次のいずれかの方法で投票します。

  • 期日前投票
  • 不在者投票
  • 投票日当日の投票所における投票

詳しくは、各市区町村の選挙管理委員会にお問い合わせください。

「在外選挙人証」は「海外にいる時だけ使えるもの」と思っておられる方が多いですが、上記のようなケースでは日本でも使用できます。

選挙時期に一時帰国または本帰国される方は在外選挙人証を持ち帰りましょう!

最後に

本記事では、在外選挙人名簿に登録済で、在外選挙人証を持っている人が行える、3つの投票方法について解説しました。

残念ながらまだインターネット投票は導入されていませんし、郵便投票は手続きが面倒ですし、時間的・金銭的な制約があってハードルが高いという声が多いです。

在外選挙人証を持っていても、実際に投票したことがないという人も多いようですが、在外公館投票はそれほどハードルが高くありません。海外に住む私たちも日本の政治には無関心ではいられません。もし大使館・総領事館がそう遠くないようでしたら、一度投票に行かれてみてはいかがでしょうか。

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