6ヶ月かかる人も! 在外選挙人証入手までの所要期間と入手方法

在外選挙人証の入手方法と入手までの所要期間
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こんにちは!フランス在住のKokoです。

Koko

私は、在外公館(=海外にある大使館や総領事館)で、在外選挙事務のアルバイトをした経験があります(複数回)。

2021年秋に行われた衆議院選挙の在外投票。私は当時の居住地ドイツで最寄りの総領事館まで行って投票しました。

解散から投開票日まで17日間しかないという戦後最短のスケジュール、コロナ禍による国際郵便事情の悪さなどもあり、特に郵便投票の人たちの投票用紙が間に合わないなど多くのトラブルがあり、制度上の問題点が明らかになった選挙でもありました。

この選挙をきっかけに、海外での投票における様々な問題や在留邦人の声が多くのメディアに取り上げられ、海外在留邦人有志が在外でのネット投票導入を求めて署名活動を行い(change.org「在外ネット投票の早期先行導入を求めます!」)、私にとって記憶に残る選挙となりました。

海外でネット投票がいち早く導入されることを願ってやみません。

さて、2023年10月に実施される予定の補欠選挙を除いて、当面は大きな国政選挙(衆院選、参院選)の予定はありませんが(次回の参議院選挙は2025年。衆議院選挙は未定)、在外選挙人証の入手には皆さんが思っておられる以上に時間がかかります(通常2~3ヶ月。人によっては6ヶ月かかることも!)ので、当面大きな選挙予定がない今こそ、在外選挙人証入手のための手続きをされておくことをおすすめします。

本記事では、次のような疑問にお答えします。

海外から投票するには、どういった手続きが必要なのかな。

在外選挙ではどんな選挙に投票できるのかな。
知事選などの地方選挙も投票できるの?

在外選挙制度とはどんな仕組みの制度なのか、また、在外選挙名簿登録申請後、在外選挙人証が入手できるまでの流れはどうなっているのかについて解説します。

Koko

実際の在外選挙人証はどんなものなのか、私の在外選挙人証もお見せしますね!

クリックできる目次

在外選挙制度とは

在外選挙制度とは?

海外に住んでいる人が、外国にいながら国政選挙に投票できる制度を「在外選挙制度」といい、これによる投票を「在外投票」といいます。

在外投票ができるのは、日本国籍を持つ18歳以上の有権者で、在外選挙人名簿に登録され、在外選挙人証を持っている人です。

引用:外務省「在外選挙とは」より

日本国内で選挙に参加するためには(投票に行く以外は)特別な手続きは必要ありません。

ですが、海外在住者は、そういうわけにはいきません。

日本の各市区町村の選挙管理委員会は、その市区町村に住所がある人のための「選挙人名簿」を管理しています。

実は、それとは別にもうひとつ、その市区町村に転出届を出し(または、その市区町村に本籍があって)現在海外に住んでいる人のための「在外選挙人名簿」という名簿も管理しています。

私たち海外在住者が海外から日本の選挙に投票できるようにするためには、現在海外に住んでいる人用の「在外選挙人名簿」に登録してもらう必要があります。

  • 日本出国前なら日本で(または、日本出国後ならお住まいの地域を管轄する大使館・総領事館を通して
  • 最終住所地(または、本籍地)の市区町村選挙管理委員会宛に

「私は在外選挙人名簿への被登録資格を満たしていますので、登録をお願いします」

という申請手続きを行い、在外選挙人証を発行してもらう必要があります。

※申請場所が日本であれ海外であれ、在外選挙人証の交付は、管轄の大使館・総領事館を通して行われます。

海外で投票できる選挙の種類は?

海外在住日本人は、次の「国政選挙」に投票できます。

  • 衆議院議員総選挙(小選挙区選挙と比例代表選挙)
  • 参議院議員通常選挙(選挙区選挙と比例代表選挙)
  • 衆議院議員・参議院議員の補欠選挙および再選挙
  • 憲法改正のための国民投票
  • 最高裁判所裁判官国民審査(※衆議院議員総選挙と同時)

海外在住日本人は、次のような一般の選挙(地方選挙)には投票できません。

  • 都道府県知事選挙
  • 市区町村長選挙
  • 都道府県・市区町村の議会議員選挙

データで見る在外選挙 (全世界の登録者数と投票率)

実際に、海外在住者のうちどれだけの人が在外選挙人名簿に登録し、どれだけの人が投票しているのでしょうか?

2022年9月1日現在、99,000人が在外選挙人名簿に登録しています。

【参考】総務省:選挙関連資料(令和4年9月1日現在選挙人名簿及び在外選挙人名簿登録者数)

Koko

2019年は登録者数が10万人を超えていたのですが、2020年~2022年の登録者数は10万人を下回っています。
コロナの影響で日本に帰国した人の分、減ってしまったのかなと思います。

在外選挙の投票率はといいますと、直近の4回の国政選挙(2017年衆院選、2019年参院選、2021年衆院選、2022年参院選)について調べてみたところ、どの選挙でも 在外選挙人名簿登録者全体の約20~22% という投票率でした。

【参考】外務省:第48回衆議院議員総選挙における在外投票(速報:投票者数)第25回参議院議員通常選挙に伴う在外投票(速報:投票者数)第49回衆議院議員総選挙における在外投票(速報:投票者数)第26回参議院議員通常選挙に伴う在外投票(速報:投票者数)

お、5人に1人が投票してるのか?
海外にしては悪くないな。

と思われたかもしれません。ですが、

海外在住の有権者数は約100万人と言われており、

そのうち在外選挙人名簿に登録しているのが約10万人

そのうち投票しているのが約2万人だとすると、

海外の全有権者数に対する投票率は約2% ということになります。

驚きの投票率の低さですね。

Koko

在外選挙のシステムや海外での投票環境改善の声が色々なところから上がっているのは、当然といえば当然ですね。

在外選挙人証ってどんなもの?

さて、投票の際に必要となる「在外選挙人証」とはどんなものなのでしょうか?

私が持っている在外選挙人証をお見せします。

在外選挙人証の表面

在外選挙人証は、三つ折りにでき、三つ折りにするとクレジットカードサイズになるので、財布に入れて持ち運べます。

  1. 交付番号・・・投票用紙請求の際に必要。
  2. 衆議院小選挙区・・・衆議院議員総選挙の際、あなたが投票する小選挙区。
  3. 住所・・・郵便投票を希望し、投票用紙を請求した場合、この住所に投票用紙が送られてきます。

在外選挙人証の裏面

在外選挙人証の裏面
  1. 記載欄(投票用紙の交付記録欄)・・・この欄がいっぱいになったら投票できなくなりますので、在外選挙人証の再交付申請をしましょう。
  2. あなたが登録されている選挙管理委員会の住所、電話番号

在外選挙への初めの一歩!「在外選挙人名簿登録申請」の2つの方法

在外選挙人名簿登録の申請は、次のどちらかの方法で行えます。

  1. 日本国内で行う「出国時申請」
  2. 海外で行う「在外公館申請」

【申請方法その1】出国時申請 (日本国内での申請)

日本出国前に市区町村役場で国外への転出届を提出した後に、市区町村の選挙管理委員会事務局で申請する方法です。

Koko

2018年6月から始まった方法なのですが、日本出国前に申請できることを知らない人も多いのではないでしょうか。
自治体によっては海外への転出者に必ずしも案内してくれるわけではないようなので、もっと積極的に案内してほしいです!

申請できる期間は市区町村役場に転出届を提出した日から転出届に記載された転出予定日までの間です。

在外選挙人名簿登録?
海外に行ってからでもできるんだったら、出国前はバタバタして忙しいし、向こうに行ってからでもいいや。

と思われるかもしれませんが、出国時申請の方が、在外公館申請(海外到着後の申請)よりも早く在外選挙人証を入手できるので、日本から海外へ行かれる方にはこちらの方法をおすすめします。

手続きの詳細は、総務省のパンフレットをご覧ください。

出国時申請した人が忘れがちなポイント!

海外へ到着し住所が決まったらすぐに、管轄の大使館・総領事館に「在留届」を提出しましょう。

出国時申請では、選挙管理委員会は、在留届により申請者の国外住所が確認できた時点で初めて申請者を在外選挙人名簿に登録するという仕組みになっているからです。

在外選挙人名簿登録の出国時申請をしていても、在留届を出さないままだと、いつまで経っても在外選挙人名簿には登録されず、在外選挙人証は発行されません!

「在留届って何?」「どうやって出すの?」と思われた方。詳しくは以下の記事で説明していますので、お読みください。

【申請方法その2】在外公館申請 (すでに海外にいる人の申請)

こちらは、日本出国後、海外で、管轄の大使館・総領事館の窓口(または、領事出張サービス会場)で申請する方法です。

まず、「3ヶ月住所要件」を理解しよう

在外選挙人名簿に登録されるためには、お住まいの地域を管轄する大使館・総領事館の管轄地域内に継続して3ヶ月以上住んでいる必要があります。

Koko

これを「3ヶ月住所要件」と言います。

ですが、登録申請自体は、住所を定めていれば3ヶ月経っていなくてもできます。

3ヶ月以上住んでいない(または、3ヶ月以上住んでいるけれどそれを証明できない)人の申請書類は、「3ヶ月住所要件」を満たすまで大使館・総領事館に留め置かれます。

そして、3ヶ月住所要件を満たした時点で、大使館・総領事館から日本に発送されます。

ちなみに、この「3ヶ月住所要件」ですが、同一の大使館・総領事館の管轄地域内である限り、引っ越ししても問題ありません(ただし、引っ越し先の住所を届ける必要があります)。

申請後、在外選挙人証を入手するまでの所要期間 (目安)

申請してから在外選挙人証を入手するまでの所要期間の目安は以下の通りです。

申請時点ですでに「3ヶ月住所要件」を満たしている人・・・約2~3ヶ月

「在留届を3ヶ月以上前に出した人」「在留届を出して3ヶ月経っていないけれど、公的な住所証明書類の提示により、すでに在留地に継続して3ヶ月以上住んでいるという事実を証明できる人」が、このケースに相当します。

申請時に「3ヶ月住所要件」を満たしていない人・・・約3~6ヶ月

その人が「3ヶ月住所要件」を満たせるまでどれだけ時間がかかるかによりますが、例えば日本から海外に到着したばかりですぐに申請した人の場合の所要期間は約5~6ヶ月です(この人の場合、在住地に継続して3ヶ月以上住んだことが確認できた時点で申請書類が日本に発送されるため)。

申請書に記載した「本籍地」や「最終住所地(海外転出前まで住民登録されていた住所)」が間違っていた場合は、訂正や申請書類の転送などに時間がかかり、上記の目安よりさらに時間がかかりますので、注意しましょう。

Koko

国政選挙前は、通常時より少し手続きを急いでくれる場合もあるようですが...

いずれにせよ、選挙の直前に申請しても間に合わないというのがお分かりいただけますよね。

在外選挙人名簿登録申請から在外選挙人証受領までの流れ

それでは、大使館・総領事館の窓口で申請する場合の、在外選挙人名簿登録申請→在外選挙人証受領までの流れを解説します。

STEP
自分が被登録資格を満たしていることを確認する

在外選挙人名簿への被登録資格は以下の通りです。

  • 日本国籍を持っている。
  • 満18歳以上。
  • 申請を行う予定の大使館・総領事館の管轄地域に、3ヶ月以上継続して住んでいる(または、住む予定だ)。
  • 日本国内の選挙人名簿に登録されていない(日本出国時に、市区町村役場に「転出届」を出している)。※何らかのご事情で日本で住民登録をしたままにしている方は登録できません。
  • 在外選挙人名簿に未登録である(他の大使館・総領事館では登録手続きを行っていない)。
STEP
在留届が提出済であることを確認し、必要書類を準備する

在外選挙人名簿登録申請には、在留届を出していることが大前提となりますので、まだ出していない人はすぐに出しましょう。

登録に必要な書類は次の通りです。

【本人が申請する場合】

  1. 日本のパスポート(原本)
  2. 在外選挙人名簿登録申請書(大使館・総領事館窓口でも入手可)
  3. <在留地にすでに3ヶ月以上住んでいるにもかかわらず、在留届を提出していなかった場合。または、在留届を出してまだ3ヶ月経っていない場合> 住所を定めた日から登録申請日まで継続して住んでいることを証明する公的な住所証明書類(申請者名の記載があるもの)

【代理人が申請する場合】

在外選挙人名簿登録申請手続きにおいて「代理人」として認められるのは、申請者と同一の在留届に登録されていて、「氏名」欄または「同居家族」欄に氏名が登録されている人だけです。

  1. 上記の (申請書には申請者の署名が必要なので注意)
  2. 代理人の日本のパスポート(原本)
  3. 申請者によって記入・署名された「申出書」

※大使館・総領事館によって、住所証明として認められる書類の種類が異なります。また、上記の必要書類に加え、在留国の滞在許可証の提示が求められることがありますので、事前に確認しましょう。

皆さんが迷いがちなポイント
「私の申請先となる選挙管理委員会ってどこ?」

登録申請の宛先となる選挙管理委員会は、あなたがいつ日本から転出したかによって決まります。

  • 1994年5月1日以降に転出した人・・・最終住所地の選挙管理委員会
  • 1994年4月30日以前に転出し、その後日本国内で転入届出をしたことがない人・・・本籍地の選挙管理委員会

ここでいう「転出」とは、日本の市区町村役場に転出届を出し、日本での住民登録を抹消した、という意味での「転出」です。一時帰国の際の日本からの出国日ではありません。

日本から転出した時期や、本籍地や最終住所地がはっきりわからない場合、大使館・総領事館では調べることができず、登録先の選挙管理委員会も分かりません。自分でしっかり確認した上で、登録申請しましょう。

→ 確認方法はこちら:外務省「在外選挙:転出日・最終住所地の確認方法」)

STEP
大使館・総領事館の窓口で、必要書類を提出する

郵送による申請は認められていないため、本人または代理人が、管轄の大使館・総領事館の窓口(または、領事出張サービス会場)に行き、必要書類を提出します。

STEP
(申請時に「3ヶ月住所要件」を満たしていなかった人のみ)大使館・総領事館から「3ヶ月住所要件」確認のための連絡が来る

申請時に、大使館・総領事館の管轄地域に住み始めて3ヶ月以上経っていなかった、または、3ヶ月以上住んでいたけれどその事実が証明できなかった、という人についてのみ、大使館・総領事館から、「申請後現在に至るまで同じ住所に住んでいますか(万が一管轄地域内で引越していたら教えてください)」という確認の連絡が来ます(電話、または、往復郵便)。

往復郵便での確認の場合、返信せずにほったらかしにしておくと、いつまで経っても登録申請書類が日本に送付されず、手続きが進みませんので気を付けましょう。

STEP
在外選挙人証を受領する

在外選挙人証が大使館・総領事館に届くと、申請者に連絡が来ますので、大使館・総領事館の窓口、または、郵送で受領します。

在外選挙人証を郵送してもらえる住所は、在外選挙人証に記載されている住所に限ります。日本国内の住所や在留地の他の住所に郵送してもらうことはできません。

さて、無事に在外選挙人名簿に登録され、在外選挙人証を入手したら、いよいよ投票できます。

在外選挙人証を持っている人が可能な3つの投票方法について知りたい方はこちらの記事をお読みください。

最後に

本記事では、在外選挙制度、在外選挙人証、在外選挙人名簿登録申請から在外選挙人証受領までの流れなどについて解説しました。

海外から投票できなかった時代、投票できる選挙の種類が限られていた時代からすると、海外在住者でも日本の国政選挙に参加しやすくなったと思いますが...それでも全有権者数に対する投票率がたった2%と衝撃の低さであることを考えると、インターネット投票の導入などシステムの改善が望まれるところですね。

在外選挙人名簿登録申請をしてから在外選挙人証を入手できるまで、短い人でも2~3ヶ月かかります。

選挙の直前に申請しても間に合いません!

まだ在外選挙人証をお持ちでなく2021年の衆院選や2022年の参院選で投票できず悔しい思いをされた方!当面は、2023年10月実施予定の補欠選挙を除いて大きな国政選挙(衆院選、参院選)の予定はありませんが、今のうちに余裕を持って申請に行かれることをおすすめします。

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