こんにちは!フランス在住のKokoです。
皆さん、以前は、海外在住でも、日本の母子手帳(母子健康手帳)がもらえていたってご存じでしたか!?
2014年から2021年3月まで、海外在住者であっても、日本の母子手帳の入手希望者には、管轄の大使館や総領事館を通じて、無料で配布されていました。ここ数年は「20年をつづる母子健康手帳」という名称になり、妊娠期から20年の記録やお子さんへのメッセージを綴ることができるものにパワーアップし、海外在住者に人気でした。
ですが、2021年3月、コロナ感染拡大防止とデジタル化推進の観点から、海外在住者への母子手帳配布は取りやめ、ダウンロード版(PDF版)母子手帳を案内する、と外務省から発表がありました。
本記事では、2021年3月の外務省からの発表内容(ダウンロードでの入手案内)をご紹介するとともに、ダウンロード以外で母子手帳を入手する次の3つの方法についてもご紹介します。
- 大使館・総領事館に、2020年度の在庫が残ってないか問い合わせてみる
- 購入する(日本語版、または、外国語と日本語の併記版)
- 日本への一時帰国中にもらえないか、市区町村役場に問い合わせてみる

日本の母子手帳の英語版が無料でダウンロードできるHPも見つけたので、ご紹介しますね。
2021年3月以降、海外在住者への母子手帳配布はなくなり、ダウンロード版に
海外在住者への母子手帳配布がなくなった理由とダウンロード版 (PDF版) の案内
2021年3月19日、海外在住者への日本の母子手帳配布について、外務省から次の発表がありました。
海外居住の邦人向け母子健康手帳について
1. 一般社団法人親子健康手帳普及協会(以下、親子健康手帳普及協会)より提供を受け、日本大使館・総領事館等において海外居住の邦人の皆様にお届けしていた母子健康手帳(以下、母子手帳)につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響等に鑑み、感染拡大防止及びデジタル化推進の観点から、今後、在外公館での配布から以下のとおりPDFダウンロード形式でのご案内に変更することとなりました。
2. 母子手帳は厚生労働省のホームページよりPDFでダウンロードが可能(無償)となっておりますので、こちらをご利用ください。
引用:外務省「海外居住の邦人向け母子健康手帳について」
というわけで、以降、海外の大使館・総領事館を通じて入手できなくなり、無料で母子手帳を入手したい場合は、各自が厚生労働省のHP(上記リンク)からダウンロードすることになりました。
早速、厚生労働省のHPに行って内容を見てみたんですが、確かに内容は母子手帳の内容ではあるんですが、昭和の時代の手帳を思い出させるような、味気ないもので(成長曲線データも2010年のもので少し古いですし)...これをダウンロードして使う人っているんでしょうか??
これまで海外在住者に配布されていた母子手帳のデザインが可愛らしくて、よくできていただけに、(コロナ感染拡大防止もデジタル化推進ももちろん理解できるのですが)代替がこのダウンロードとは正直残念に思いました。
これまで海外在住者に配布されていた母子手帳は「20年をつづる母子健康手帳」
2014年から2021年3月まで、大使館や総領事館を通じて海外在住者に配布されていた「20年をつづる母子健康手帳」は親子健康手帳普及協会の公式HPで中身を見られます(現在も日本では購入できるので、後ほど購入方法をご案内しますね)。








海外在住日本人は母子手帳はどうしてるの? 日本の母子手帳って必要なの?
母子手帳や予防接種手帳が配布される国も多いですから、在住国でもらえる手帳に健診記録や予防接種記録をつけているという人が多いようです。
我が家も、フランスでの出産時にもらった母子手帳にドクターの健診記録、予防接種記録をお願いしてきました(その後、台湾やカナダ、ドイツに住みましたが、予防接種記録についてはずっとフランスの母子手帳に記入をお願いしてきました)。
少なくとも予防接種記録はひとつの手帳に!
うちの子供たちの場合、カナダの小学校で予防接種記録の提出を求められました。
また、ドイツの学校でも、麻疹(はしか)の予防接種済証明を提示するよう言われましたし、ドイツでのサマーキャンプ参加時も毎回予防接種済証明(母子手帳の予防接種記録ページのコピー)の提出を求められました。
他国へ引っ越しする場合でも、予防接種記録だけはひとつの手帳にまとめておいた方が、あとで記録を確認しやすく、また、接種済証明の提出を求められた時も簡単です。



国によって予防接種(義務・推奨・任意)の種類や接種時期が違うので注意が必要ですね。
日本脳炎、BCG(結核)、B型肝炎など、国により扱いは様々です。
ただ、「そもそも母子手帳がない!」という国もあるでしょうし(アメリカには母子手帳がないと聞いています)、海外で出産後、日本へ本帰国する人もおられるでしょう。そういった方には、日本の母子手帳が役に立ちますよね。
日本の母子手帳を、健診記録のため、予防接種記録のために入手されるのはよいと思いますが、月齢による成長や妊娠・出産・育児のポイントなどに関する情報を得たいということであれば、日本の妊娠・出産・育児関連書籍の方が情報豊富でおすすめです(情報過多でストレスになるのはよくないですが、日本のこの種の書籍は本当によくできていると思います)。



うちの子たちのフランスの小児科の先生は、健診の度にフランスの母子手帳に記入してくれましたが、国や医師によっては健診記録をつけてくれない場合もあると思います。
日本の母子手帳の英語版をダウンロードできる?
上で、厚労省のHPから日本語の母子手帳がダウンロードできると書きましたが、海外在住であれば英語版の母子手帳のほうがよい方もいらっしゃいますよね。
日本の母子手帳の日英併記版が無料で閲覧できるHP(MCH handbook/国際母子手帳委員会)を発見しましたのでご紹介します。このリンクをクリックして表示されるページから「Japan」と記載がある母子手帳をクリックすると閲覧できます。この母子手帳は、「本の楽育まんてん堂」(後述)が販売している母子手帳日英併記版の2008年版で、発行年が古いものですのでご注意ください(現在「本の楽育まんてん堂」では2022年版を販売中)。
他には、このサイトで、日英併記版ではありませんが、日本の母子手帳の英語版を閲覧できます。左のリンクをクリックして表示されるページの中ほどにある「MCH Handbooks in the World (below is a selected few)」の下の「Japan (PDF)」をクリックすると閲覧できます。この母子手帳は、「風間書房」(後述)の「20年をつづる母子健康手帳」英語版(発行年は不明)です。(ただ、個人的には斜めにスキャンされているのがちょっと嫌...)



では、次章より、ダウンロード版ではない母子手帳(日本語または外国語との併記版)を入手したい人のために、3つの入手方法をご紹介します。
【入手方法その1】まだ大使館や総領事館に2020年度の母子手帳が残っているかも!?
外務省からのお知らせは2021年3月に出されましたが、まだ2020年度の母子手帳の在庫が残っているという大使館・総領事館があるかもしれません。



2021年6月に管轄の総領事館(ドイツ)に行ったら、まだ2020年度の母子手帳(日本語版)が残っていました。
2022年3月にも英語版がまだありましたよ。
入手希望者は、早めに管轄の大使館・総領事館に問い合わせてみられることをおすすめします。
大使館・総領事館によって、母子手帳の入手条件・入手方法は様々です。もし在庫があるようなら、入手条件・方法も確認しましょう。大使館・総領事館によっては、切手を貼付した返信用封筒を送付すれば、郵送で送ってくれることがあります(母子手帳そのものは無料)。



もし海外での出産を控えておられるなら、同じ封筒で、出生届用紙や記入見本など送ってもらうとよいですよ!
【入手方法その2】母子手帳 (日本語版、日英併記版、英語以外の外国語併記版) は購入できる
先ほどの外務省の発表の続きに、こんな案内もありました。
【参考】
なお、これまで在外公館で配布しておりました母子健康手帳(20年をつづる母子健康手帳)は、株式会社 風間書房ウェブサイトより個人の方でもご購入いただけます(国内発送)。
また、「日英併記版」「他言語併記版」の母子手帳につきましては、他団体作成の母子手帳が、個人の方でもインターネットで購入・海外発送可能となっておりますので、合わせてご参照ください。
引用:外務省「海外居住の邦人向け母子健康手帳について」
海外で配布されていた「20年をつづる母子健康手帳」は、現在も購入は可能 (海外発送不可)
外務省からの案内にある通り、



有料でもいいから、これまで海外在住者に配布されていた「20年をつづる母子健康手帳」を入手したい!
という人は 風間書房 のHPで購入できます。
- 料金:1冊500円+送料180円 ※2022年度版
- 発送:日本国内発送のみ
- 支払い方法:銀行振込(前払い)のみ
日英併記版、英語以外の外国語併記版の母子手帳も購入可能 (海外発送不可)



どうせ有料なら、海外でも使えるように、日本語だけではなく英語が併記してある日英バイリンガル母子手帳を購入したい!
という人は「本の楽育まんてん堂」というショップのHPで購入できます(日本の市区町村役場や在ロサンゼルス総領事館のHPで紹介されているショップ)。
- 料金:1冊880円+送料250円(クロネコDM便)※令和4年版(2022年度版)
- 発送:日本国内発送のみ
- 支払い方法:銀行振込 または クレジットカード



アメリカでは日本の母子手帳にあたるものがないらしく、日英併記版の母子手帳を購入して、ドクターに記入をお願いしている方もいらっしゃるようですよ。
「本の楽育まんてん堂」では、日英併記版の母子手帳だけでなく、スペイン語、ポルトガル語、韓国語、中国語、タイ語、タガログ語、インドネシア語、ベトナム語、ネパール語の併記版も販売しています。
「本の楽育まんてん堂」公式HPの各ページへのリンク
上の外務省からの案内に「「日英併記版」「他言語併記版」の母子手帳につきましては、他団体作成の母子手帳が、個人の方でもインターネットで購入・海外発送可能」とあるように、「本の楽育まんてん堂」は2022年6月ぐらいまで海外発送されていたのですが、現在は海外発送はされていません(海外発送を取りやめられた理由は次の通り)。
荷物の引受状況が突然変更になることや、発送できなかった場合の返金がとても難しいことがあり、お受けすることが困難な状況なことから今後の海外発送の受付をやめることになりました。
引用:私の問い合わせメールに対する「本の楽育まんてん堂」からの返信(2022年7月4日)
【入手方法その3】日本一時帰国中に母子手帳 (無料) がもらえるかも
あとは、もし日本に一時帰国する予定がある場合、例えば、ご実家などがあってご自身が滞在になられる予定の市町村役場で、母子手帳が入手できるかどうか尋ねられてみてはいかがでしょうか。
母子手帳は、原則、住民登録がある人にしか交付されません。
ですが、調べてみましたところ、一時帰国中のため住民登録がない海外在住者への母子手帳配布を行っている市区町村もあります。
市区町村により対応は様々で、大きく分けて次の3つの対応に分かれているようです。
- 一時帰国中でも(住民登録がなくても)居住実態が確認できれば配布する。
- 一時帰国中でも(住民登録がなくても)妊娠健診が必要な方には、居住実態を確認した上で配布する。
- 一時帰国中なら(住民登録していないなら)配布しない。
①一時帰国中でも「居住実態が確認できれば配布する」自治体
東京都荒川区、東京都文京区などでは、居住実態を確認した上で、母子手帳を配布しています。
(質問)現在、海外在住ですが、一時帰国の際に母子健康手帳をもらうことはできますか。
(回答)母子健康手帳は、区が行う行政サービスの一環として交付していることから、原則として、荒川区に住民登録がある方に差し上げております。
しかし、母子健康手帳は、妊娠期から乳幼児期までの健康に関する重要な情報を一つの手帳で管理できるものであり、継続性・一貫性のあるケアを受けるために必要な母子保健のツールであることから、一時帰国であっても、荒川区での居住実態が確認できれば差し上げております。
引用:荒川区役所「よくある質問 – 妊娠・出産」
Q: 現在外国に居住していますが、出産時に文京区の実家に一時帰国する予定です。日本語版の母子健康手帳はもらえますか?
A: 確認の上発行できます。ご本人が直接、パスポートと一時帰国先の住所がわかるものを持って保健サービスセンターにいらしてください。
引用:文京区役所「母子健康手帳の交付 – よくある質問」
②一時帰国中でも「妊娠健診が必要な方には、居住実態を確認した上で配布する」自治体
埼玉県さいたま市などでは、一時帰国中に妊娠健診の受診が必要な方に対しては、居住実態を確認した上で、母子手帳を配布しています。
(質問)現在海外在住で日本に住民登録はしていないのですが、一時帰国の際に妊娠届出をした場合は、母子健康手帳は交付してもらえますか。
(回答)妊婦本人が一時帰国時に、国内の医療機関等で妊婦健康診査を受診する際に、母子健康手帳が必要な場合があります。
母子健康手帳等は原則、さいたま市に住民登録をされている方に対して交付するものですが、市内一時帰国時に妊婦健診の受診が必要な方に対し、状況に応じて、母子健康手帳の本冊のみを交付します。
交付に際しては、「妊婦本人のさいたま市内での一時帰国時の居住地」「本市に住民登録をされている親族の方のお名前と本人との関係」「受診している医療機関名」「受診日」等をお伺いすることがあります。
引用:さいたま子育てWEB「よくある質問 – 母子健康手帳」
③一時帰国中なら (住民票がないなら)「配布しない」自治体
神奈川県藤沢市などでは、住民登録がないなら母子手帳は配布していません。
Q: 現在、海外在住で、妊娠しました。海外への転出手続きはしてありますが、出国前日本にいたときの住民票は藤沢市にありました(または戸籍の本籍地が藤沢市です)。一時帰国した時に母子健康手帳を交付してもらえますか。
A: 母子健康手帳は、住民登録をしている市区町村に妊娠の届け出をしていただくことで交付しています。
海外に住民票を移している場合、住民登録が藤沢市にありませんので、藤沢市から母子健康手帳の交付はできません。(中略)海外居住者や外国人のための日本語と外国語が併記された母子健康手帳が一般用に販売されておりますので、そちらの購入をご検討ください。
引用:藤沢市役所「よくある質問 – 妊娠・出産 – 妊娠」※2023年2月1日、引用元ページ削除(一時的なものかもしれませんので、しばらく残しておきます)。
自治体によっては、外国語(英語、中国語、ハングル、スペイン語、ポルトガル語、ベトナム語、タガログ語、タイ語、インドネシア語)と日本語が併記された母子手帳を準備しているところもあるようですので、興味があれば尋ねてみられてはいかがでしょうか。
余談: そもそも海外在住者は日本一時帰国中に住民票を入れられるの?



一時帰国中に母子手帳もらいたいし、何より日本の健康保険も使いたいし、一時帰国中だけ住民票を入れればいいんじゃないの?
と思われた方もいらっしゃると思います。
ですが、一時帰国中に住民登録できるかどうかについては、原則、どこの自治体でも次のような対応になっています。
国外から転入された方
外国から帰国し、1年以上にわたり日本国内に滞在予定の方は、帰国の日から14日以内に転入届をしてください。
引用:鳥取県境港市役所「国外からの転入届、国外への転出届のご案内」
ただし、外国に住所を移している方が一時帰国している場合で、一時帰国の期間が1年未満であるときは、住所は外国にあるものとして扱いますので、転入届の受付はできません。
実際、私自身、コロナ禍前の夏休みに日本に一時帰国した際、実家がある市の市役所に行くことがあったので、海外からの一時帰国中に住民票を入れることができるかどうか尋ねてみました(私は住民票を入れるつもりはありませんでした)。
窓口の職員さんに、事情を聞かれることもなく、間髪入れず、「一年以上住む予定がなければ、住民登録はできません!」と、冷たく言われてしまいました...
私のまわりの海外在住日本人の中には、一時帰国中に住民票を入れたことがある人、住民票を入れようとして断られたことのある人たちがいて、色々話を聞いて知ってはいましたが、夏休みの一時帰国中だけ健康保険利用目的で住民登録しようとする海外居住者が多いらしく、おそらく「またこの人も...」と思われたのだと思います。
私のこちらの友人の一人は、



一時帰国中に住民票を入れてまた転出届を出すことを2回繰り返したら、ブラックリストに載っちゃったみたいで、注意されて、もう一時帰国中に住民登録させてもらえなくなったよ...
と言っていました。
ただ、「1年以上の居住予定があれば住民登録できる」というのもあくまで原則であり、各人の事情や説明の仕方次第で、一時帰国中でも住民登録させてもらえる場合もあるようです。
このあたり、各自治体、各担当者により、対応が様々のようです。
海外在住者が妊娠中に日本に一時帰国し里帰り出産する場合はもちろん別の扱いになると思いますので、一時帰国場所の市区町村役場の母子保健担当課で手続きの相談をしましょう。
海外在住者が日本の母子手帳 (日本語版/外国語との併記版) を入手する方法のまとめ
大使館や総領事館を通じての海外在住者への母子手帳の配布がなくなるという外務省のお知らせを個人的には残念に思いました。
お住まいの国や個々の状況によって、日本の母子手帳(日本語版?日本語と外国語の併記版?)を使うかどうか様々だと思いますが、入手希望者は、以下の方法で、閲覧、購入が可能です。
- 厚生労働省のHPから日本語版を無料でダウンロード(PDF版/Word版)
- MCH handbook(国際母子手帳委員会)のHPから日英併記版を閲覧。または、このサイトから英語版を閲覧。※いずれも無料だが、発行年に注意
- 「風間書房」で、2021年3月まで海外在住者に配布されてきた「20年をつづる母子健康手帳」(日本語)を購入 ※海外発送不可
- 「本の楽育まんてん堂」で、日本語と外国語(英語、スペイン語、ポルトガル語、韓国語、中国語、タイ語、タガログ語、インドネシア語、ベトナム語、ネパール語)の併記版母子健康手帳を購入 ※海外発送不可
また、海外在住者が妊娠中に一時帰国先で母子手帳の交付を受けられる場合もあるので、市区町村役場で尋ねてみましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!お役に立てましたら幸いです。
他にも、国際結婚家庭のお子さんの名前の届出についての記事や、海外で出産し出生届を提出する場合にお役に立てそうな記事を書いていますので、よろしければお読みください。