在留届と住民票はリンクしている? 住民票抜かずに在留届出せる?

海外の在留届と日本の住民票は連動している?
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こんにちは!フランス在住のKokoです。

日本人(重国籍者含む)が海外に3ヶ月以上滞在する場合、お住まいの地域を管轄する大使館・総領事館に「在留届」を出すことが法律で義務付けられています。

在留届はオンライン(ORRネット)または書面(在留届用紙に記入)で提出できます。

2023年3月27日以降、海外の大使館・総領事館でもオンラインでのパスポート申請が可能になるのを皮切りに今後様々な手続きがオンラインで行えるようになっていきますが、大使館・総領事館でのオンライン手続きの利用にはオンラインで在留届を出していることが条件となっていますので、まだ出していない方はオンラインで在留届を出されることをおすすめします。

海外に長く住んでいる人、住む予定の人(永住者や、1年以上の滞在予定がある長期滞在者)は、日本出国前に市区町村役場で海外への転出届を出してから(住民票を抜いてから)海外に渡航している人がほとんどだと思います。

Koko

原則として1年以上日本国外に滞在する場合は海外転出届を出すことになっていますし、日本に住民票を残しておくと国民年金や健康保険などの支払いが発生しますからね。

一方、日本に住民票を残したまま海外に住んでいる人もいます。ワーホリ(最長1年間)や短期留学、海外プチ移住などで海外滞在期間が比較的短い人、日本と外国を行ったり来たりの二拠点生活をしている人など、日本に住民票を残したままにしている事情は人それぞれです。

日本に生活の本拠を置いたまま日本国外に1年未満滞在する場合は一時滞在と見なされるので、必ずしも海外転出届を出さなくてもよいとされています。

さて、海外在住でも、人によって抜いていたり残していたりする住民票ですが、在留届との関係について次のような疑問があります。

在留届と住民票はリンク(連動)しているのかな?

日本で住民票を抜いていないから、海外で在留届を出せないよね?

日本に住民票を残したまま海外で在留届を出すと、日本の年金や健康保険、税の支払いや手当などに何か影響があるのかな?

日本に(一時)帰国して住民票を入れたら、海外で出した在留届は自動的に抹消されるのかな?

結論から言うと、現状では、海外で出す在留届と日本の住民票はリンク(連動)していないので、これらの質問の答えはすべて「No」なのですが、本文でもう少し詳しく説明しますね。

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在留届と住民票は現時点ではリンクしていないが、将来的には?

現時点では、海外の在留届と日本の住民票はリンク (連動) していない

現時点では、海外で管轄の大使館・総領事館宛に出す在留届と、日本の住民票はリンク(連動)していません。

Koko

昨年(2022年)、当時住んでいたドイツで総領事館に確認しましたが、現状では在留届と住民票はリンクしていない(情報がつながっていない)とのことでした。

Koko

外務省のHPに「在外公館で在外選挙人登録などの領事窓口サービスを受ける際にも「在留届」は利用されています」とあるように、海外在住者が大使館・総領事館を通じて日本の選挙管理委員会に在外選挙人証を申請する際に、在留届情報を利用しますし、日本側でも住民登録がないことを確認します。
ただ、あくまで登録資格確認のために利用されるだけであって、在留届と住民票の情報がつながっているということではないそうです。

海外在住者がマイナンバーを利用できるようになったらどうなる?

海外在住者も2024年中にマイナンバーを利用できるようになる

2024年中に海外在住者(日本の非居住者)もマイナンバーを利用できるようになることが決まっています。

日本政府は、2023年3月7日「マイナンバー法」の改正法案とその関連法案を閣議決定しましたが、その改正法案の6つの柱のうちのひとつが「在外公館でマイナンバーカードの交付を可能にする」というものです。

Koko

「在外公館」とは、海外にある日本の大使館や総領事館のことです。

Koko

ちなみに、現状では、日本国内に住民登録がない海外在住者にはマイナンバーは発行されていません。
また、マイナンバーカードを持っている人が住民票を抜いて海外に転出する場合は、マイナンバーカードを市区町村役場に返納するルールになっています。

デジタル庁の資料によると、次の流れ(2ステップ)で、海外在住者がマイナンバーカードを取得・更新できるようになるようです。

在外公館におけるマイナンバーカードの交付

  • 2019年のデジタル手続法により、「戸籍の附票」を個人認証の基盤として、国外転出者についても、マイナンバーカード・公的個人認証(電子証明書)の利用を可能とするため、住民基本台帳法等を改正(2024年5月30日までに施行)。一方で、改正後においても、国外転出者がマイナンバーカードの交付・更新や電子証明書の発行・更新の手続きを行う場合には、一時帰国して、本籍地市町村の窓口で手続きを行う必要。
  • 国外転出者が、帰国することなく、在外公館を経由して、マイナンバーカードの交付・電子証明書の更新等の手続きを行えるよう、必要な手続き等を定める。
引用:デジタル庁「マイナンバー法の改正事項 2022年11月29日」P.13
Koko

この文章だけではよくわかりません...
この文章の下に図解があったのですが、その図解を含め、海外在住者がマイナンバーカードを取得・更新できるようになる流れ(2ステップ)を以下にまとめてみました。

STEP
2024年5月30日までに施行される「2019年デジタル手続き法」施行後

海外在住者は、日本に一時帰国し、本籍地役場に行けば、マイナンバーカードを取得・更新できるようになります。

※この段階ではまだ海外では手続きできません。

Koko

最寄りの役場ではなく本籍地役場です。
本籍地役場が遠い人は不便ですね。

STEP
(時期未定)

海外在住者は、日本に一時帰国せずとも、海外の大使館・総領事館で、マイナンバーカードを取得・更新できるようになります。

海外在住者がマイナンバーを取得できるようになれば在留届と住民票はリンクする?

マイナンバー制度では、情報を「一元管理」することは一切なく、情報の管理に当たっては、今まで各機関で管理していた個人情報は引き続きその機関が管理し、必要な情報を必要な時だけやりとりする「分散管理」という仕組みを採用すると言われています。

なので、海外在住者がマイナンバーを取得できるようになっても、在外選挙人証申請手続きと同様、海外の大使館・総領事館と日本の役場はマイナンバー交付・更新に必要な情報だけをやりとりすることになり、在留届と住民票はリンク(連動)しないままのように思えます(あくまで個人的予測)。

ただ、海外在住者(日本の非居住者)が海外でマイナンバーを取得できるには「日本に住民登録がない」という条件が課されるでしょうから、今以上に海外の大使館・総領事館が在留邦人の住民登録の有無を確認できるようになることは確かですよね。

Koko

というわけで、将来的にはどうなるかわかりませんが、現時点では在留届と住民票はリンク(連動)していませんので、以下、現状でのお話を進めていきますね。

日本に住民票を残したままでも海外で在留届を出せる

日本国内に住民登録がある状態でも(住民票を抜いていない状態でも)海外で在留届を出せます。

正しい言い方をすれば、日本人が海外に3ヶ月以上滞在する場合在留届を出すことが法律で義務付けられていますので、海外に3ヶ月以上滞在する予定であれば日本に住民票を残したままでも在留届は出さないといけません。

住民票を抜かずに在留届を出す状況はあり得る

「日本に住民票がある(日本に住所がある)のに海外に在留届を出している(海外にも住所がある)のはおかしい」という意見を見聞きすることがあります。

ですが、例えば東京都江東区役所のHPにもあるように、1年未満の国外滞在の場合、必ずしも海外への転出届を出す必要はありません。

国外への転出届(江東区から国外へのお引越し)

対象の方

● 江東区から国外へお引越しをする方で一定期間(おおむね1年以上)国外に滞在する予定のある方

1年未満の旅行や出張、留学など、江東区に生活の本拠を置いたまま短期間、国外に滞在する場合は必ずしも国外への転出届をする必要はありません。

引用:江東区役所「国外への転出届・国外からの転入届

一方、日本人が海外に3ヶ月以上滞在する場合は在留届を出すことが義務付けられていますので、ワーホリや留学などで海外滞在期間が比較的短い人にとっては、日本に住民票を残したまま海外で在留届を出している状況というのはあり得るわけです。

そもそも在留届の役割とは?

在留届は「海外在住日本人の住民票」のようなものと思っている人もいますが、そもそも在留届の役割は次の通りです。

在留届が提出されているとこんなに安心

● 海外在留邦人が事件や事故、災害に遭ったのではないかと思われるとき、「在留届」があれば電話やメール(SMSを含む)を用いた安否の確認、緊急連絡、救援活動、留守宅への連絡等が迅速に行えます。

● 「海外で事故にあったのでは」といった留守宅からの安否問い合わせに対しても「在留届」があると早く確認できます。

● 在外公館で在外選挙人登録などの領事窓口サービスを受ける際にも、「在留届」は利用されています。

● 海外にいる在留邦人のための長期的な教育・医療等の施策を政府が検討する際の基礎的資料ともなっております。

引用:外務省「「在留届」をご存知ですか?

在留届は、主に、滞在先の最新の安全情報の連絡や緊急事態発生時の連絡や援護のために使われているんですね。

住民の居住関係の公証、健康保険や国民年金などの被保険者資格の確認、各種手当の受給資格の確認などのために利用されている住民票とはそもそも性格の異なるものであることがお分かりいただけると思います。

在留届は、日本での年金、健康保険、税などの支払いや手当と無関係

在留届を出しても、日本の住民票や、日本での国民年金、健康保険、住民税などの支払いや手当などには影響がありません。

住民票を入れても在留届は自動的に抹消されない

日本出国時に海外転出届を出して住民票を抜いていた人が日本に(一時)帰国した時に住民票を入れても、海外で出している在留届が自動的に抹消されることはありません。

Koko

以前は、日本で住民票を入れて4ヶ月経つと自動的に在外選挙人名簿から抹消されるというルールだったこともあってか、住民票を入れることで在留届も自動的に抹消されると勘違いしている人がいます。

【ご参考】在外選挙人名簿からの抹消ルール(2018年6月以降)

現在は、日本に一時帰国して住民票を入れても、

1) 住民票を入れた市区町村の在外選挙人名簿に登録されている。

2) 住民票を入れた後ほかの市区町村に住民票を移していない。

3) 住民票を入れてから4ヶ月以内に海外転出届を出した。

という3つの条件を満たす場合は、在外選挙人名簿から抹消されないルールになっています。

日本帰国後、転入届を出した(住民票を入れた)から在留届は自動的に抹消されると勘違いし、管轄の大使館・総領事館に帰国届を出さない人もおられるようです。ですが、本人はいないのに在留届が出されたままになっていると、いざ事件・事故、災害などの緊急事態があった時の大使館・総領事館の安否確認、救援活動に支障が出てしまいます。

Koko

帰国時はバタバタして在留届の帰国届を忘れがちですが、忘れずに出しましょう!

まとめ

日本政府は2024年中に海外在住日本人もマイナンバーを取得・利用・更新できるようにする方針を打ち出していますので、将来的には、海外の在留届と日本の住民票が何らかの形でリンクする可能性がないわけではありませんが、現時点では、在留届と住民票はリンク(連動)していません。在留届と住民票は役割が異なる別物です。

ですので、海外で在留届を出すという行為が、日本の住民票や、日本での国民年金、健康保険、住民税などの支払いや手当などに影響を及ぼすことはありません。

逆に、日本で住民登録をする(住民票を入れる)という行為により、海外で出していた在留届が自動的に抹消されるということもありません。

日本人が海外に3ヶ月以上滞在する場合は、管轄の大使館・総領事館に在留届を出すことが法律で定められています。在留届は、日本に住民票がある・ないに関係なく出さないといけませんのでご注意ください。

在留届を出すタイミングや提出方法(オンラインでの提出がおすすめ)、在留届を出すと得られる5つのメリットについては、別記事にまとめています。

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