こんにちは!フランス在住のKokoです。

海外に住んでいる日本人は、大使館・総領事館に「在留届」を出すことになってるって聞いたんだけど...
届出が法律で義務付けられているって本当?
出さないと罰則があるのかな?



「在留届」を出すことのメリットは?
どんな情報を届け出ないといけないのかな。
オンラインで届出できるのかな?



そもそも在留届っていつ出すの?
本記事では、こういった疑問にお答えします。
私はこれまで、国から国へ引っ越しする度に、大使館・総領事館に「在留届」を出してきましたが、実際に
「出しててよかった!」
「もっと早く出しておくべきだった...」
と思うことがありました。
外務省や大使館、総領事館があまり大声で言っていない(と私が思う)「在留届」の5つのメリットについてもお伝えします。
在留届の提出は法律で義務付けられている?
在留届の提出は旅券法で定められている
在留届の提出は「旅券法」の第16条に定められています。
(外国滞在の届出)第十六条 旅券の名義人で外国に住所又は居所を定めて三月以上滞在するものは、外務省令で定めるところにより、当該地域に係る領事館の領事官に届け出なければならない。
ここで言われている「外国滞在の届出」=「在留届の提出」のことです。
ひとつの国や都市に3ヶ月以上滞在する人は、お住まいの地域を管轄する大使館・総領事館宛に在留届を出さないといけないとされています。「旅券法」という法律で義務付けられているものであり、「出したいなら出す」「出したくないなら出さなくてよい」というような任意の届出ではありません。
ひとつの国や都市での滞在期間が3ヶ月未満の場合や、外国での住所を定めず3ヶ月以上渡航する場合は、外務省の海外安全情報無料配信サービス「たびレジ」に登録できます(在留届と違い、登録は任意)。「たびレジ」に登録すると、メールやLINEで現地の安全情報や緊急連絡を受け取れます。
日本に住民票を残したままにしていても在留届を出せます。日本の住民票と海外の在留届はリンク(連動)していません。詳しくは別記事で説明しています。
対象者は日本国籍保持者全員 (永住者・重国籍者含む)
在留届の提出は、海外在住の日本国籍保持者全員が対象です。永住者も重国籍者も、日本国籍を有している限り届けなければなりません。
在留届はいつ出す?
在留届を出すタイミング
在留届は「到着後、住所が決まったら速やかに出す」よう案内されています。
日本にいる時に、海外の移住先への到着日や住所がわかっているからといって、事前に未来日付で出すことはできません。
外国到着後とりあえず仮の住所で出すことをおすすめ
到着後に住居を探す場合、なかなか住むところが決まらず、「住所が決まっていないからまだ在留届が出せない」という場合もありますよね。
私は、そのような場合、できるだけ早く管轄の大使館・総領事館から安全情報や大切なお知らせメールを受け取れるよう、とりあえず仮の滞在先住所(Airbnbの住所など)で在留届を出しておいて、後日住所が決まり次第、在留届の「変更届」から住所変更を行っています。



オンラインで在留届を出しておけば、住所変更もオンラインでちゃっちゃっと3分で完了。
「そんなに急いで出さなくても...」と思われるかもしれませんが、大使館・総領事館からのメールには重要な内容のものもありますし、もしかしたら10年後「ああ、あと1ヶ月早く在留届を出していたら日本でJRパスが使えたのに...」と後悔することになるかもしれません(詳しくは後述)。
在留届は遅れて出しても罰則なし
海外に来て数か月~数年経ってから在留届を出したからといって、大使館・総領事館の人からとがめられたり、罰則を受けたりする、ということはありません。
私はこれまで、「そもそも在留届の存在自体知らなくて、出していなかった」という人にも結構会いましたが、法律で義務付けられていることはもちろん、在留届を出すと得られるメリットも色々ありますので、海外在住でまだ在留届を出していない人はすぐに出しましょう!



有効な日本のパスポートさえあれば、オンラインで簡単に出せるんですよ。
在留届の提出方法はオンラインがおすすめ
在留届の提出方法は、次の2通り。
- 在留届用紙を入手し(窓口・ダウンロードで入手可)、用紙に手書きで必要事項を記入し、管轄の大使館・総領事館に直接持って行く or メールに添付して送る or 郵送する。
- 外務省が運営する「オンライン在留届(ORRネット)」からオンラインで出す。
書面での提出よりもオンラインでの提出を強くおすすめします。
なぜなら、2023年3月27日からパスポートのオンライン申請が可能になるのを皮切りに、海外の大使館・総領事館で次々にオンラインでの領事手続きが導入されていきますが、オンラインでの領事手続きを利用できるのはオンラインで在留届を出した人だけだからです。
すでに書面で在留届を出している人は、2023年2月から電子届出化の手続きができるようになっていますので、早めに手続きしましょう。(詳細は管轄の大使館・総領事館に問い合わせてください。)
オンラインでの在留届提出方法については、こちらの記事でわかりやすく解説していますので参考にしてください。



では、いよいよ、在留届を出すとどんなメリットがあるのか見ていきましょう!
在留届の5つのメリット
在留届を出すと得られる5つのメリットは次の通り。
- 現地での生活に必要な情報をメールで受け取れる。
- 事件や事故に巻き込まれた場合、迅速な支援が受けられる。
- 大使館・総領事館での領事サービスを利用できる。
- 在留届を出している人だけ郵送申請が可能になる場合がある。(例:在フランス日本国大使館における出生証明書などの申請)
- さらに、オンラインで在留届を出すと、オンライン手続きが利用できるようになる。(例:2023年3月27日から始まるパスポートのオンライン申請)
- 滞在国の運転免許証に書き換えた後、日本の運転免許証を返還してもらえる(国による)。
- 10年以上前に在留届を出していれば、JRパス利用に必要な「在留届の写し」を発行してもらえる。



それでは、ひとつひとつメリットを見ていきましょう!
【メリット1】現地生活に必要な情報をメールで受け取れる
在留届を出すと、管轄の大使館・総領事館から、在留届に登録したメール宛に、以下のような現地での生活に必要な情報、有益な情報が送られてきます。
- 現地での事件や事故の情報
- 注意が必要な気象情報
- 注意が必要なデモ、ストライキ、訓練などに関する情報
- 海外在住日本人が参加できる国政選挙の公示・告示日、在外選挙の投票日や投票方法の案内
- 小中学生への教科書無償配布に関する情報



では、実際どんなメールが送られてくるのか、私が実際に受け取ったメールの一部をご紹介しますね。
新型コロナウィルス感染症関連情報メール
2020年3月以降、しばらくの間は毎日のように、現地のコロナ関連情報(滞在地域の感染の現状、防疫措置、水際対策など)が送られてきていました。



不安な状況が続く中、日本語でまとめられた最新情報が届くことは、心強くありがたかったです。
特に、現地語での情報収集が難しい場合はなおさらですね。
今はコロナ関連メールはかなり少なくなりましたが、それでも、現地当局が新たな防疫措置や水際対策を発表するたびに要約メールが送られてくるので助かります。


小中学生への教科書無償配布の申込案内メール


海外在住の、日本国籍を持つ義務教育学齢期(小学1年生~中学3年生)の子供たちは、条件を満たしていれば、日本の教科書を無料で受け取ることができます。
申込時期は春と秋の年2回(小学6年生~中学3年生は春のみ)なのですが、半年毎(小学1年生~5年生)または1年毎(小学6年生~中学3年生)の申込なのでつい申込を忘れがち...
申込時期がやってくる度に、次のような申込受付開始の案内メールが送られてくるので助かります。





お子さんが日本語補習校に通っている場合は補習校がまとめて申し込んでくれます。また、一度申し込んだら受領し続けている限り申込が不要という国(例:フランス)もあります。
ただ、毎回申し込みが必要な国に住んでいて、個人での申込が必要な場合は、この案内メールがなければ申込時期を逃してしまう可能性大!です。
在外選挙の投票日案内メール
海外に住んでいても、日本国籍を持つ18歳以上の有権者で、在外選挙人名簿に登録され、在外選挙人証を持っていれば、国政選挙(衆議院議員総選挙、参議院議員通常選挙)に投票できます。
大使館・総領事館で投票する場合、日本での投票日とは異なります。また、大使館・総領事館ごとに投票期間が異なるため注意が必要ですが、次のような案内メールが送られてくるので確認できます。


在外選挙制度、在外選挙人名簿登録方法について知りたい方は、こちらの記事をお読みください。
事件や事故、デモや訓練、気象情報などの、注意喚起メール
以下のような、様々な注意喚起メール、リマインドメールも助かります。
- 邦人がこんな被害に遭いました。アジア人をターゲットにしたと思われるこんな事件がありました。
- 現在~で銃撃事件があって犯人逃走中です。近くにお住まいの方は外出しないようにしてください。
- 明日~でデモが予定されているので、むやみに近づかないようにしましょう。
- 明日はPCR検査ラボのストライキが予定されていますので、近々日本に行かれる予定の方はご注意ください。
- 大型ハリケーンが近づいてきているのでご注意ください。
- 法律で義務付けられている冬タイヤ着用の時期が来ました。(カナダ)
次のような、全国一斉緊急警報試験情報なども、事前に知っていると「え、何?!」って焦らずにすみます。


【メリット2】事件・事故の場合に迅速な支援が受けられる
海外にいると、思わぬ事件や事故、災害に巻き込まれることがあります。そういった万が一の時に、大使館・総領事館は、在留届のデータをもとに安否確認を行ったり支援を行ったりします。
記憶に新しいところでは、2020年1月~2月、新型コロナウィルス発生で中国湖北省武漢市が封鎖された際、日本政府がチャーター機を飛ばすことになり、在留届を使って在留邦人数を把握し、連絡を行っていましたね。ただこの時、在留届を出していなかったり、在留届を出していても登録情報が古かったりした日本人も多く、調整が大変だったようです。
また、2022年2月以降、ウクライナにいる在留邦人の援護、安否確認などにも在留届は利用されています。



必要な時に必要な人に迅速に支援が届くよう、常日頃から在留届の情報をアップデートしておきましょう!
【メリット3】大使館・総領事館での領事サービスを利用できる
海外に3ヶ月以上滞在する場合、お住まいの地域を管轄する大使館・総領事館に在留届を提出することが法律で義務付けられています。
ですので、何か用事があり大使館・総領事館に行くと、領事窓口で必ず「在留届を出していますか?」と尋ねられます。
「出していない」と答えると、すぐ出すように求められます。(その場でスマホで出している人を見たこともあります。)
事前に在留届を出していなかったがために、その場で申請を受け付けてもらえなかったり、手続きがスムーズにいかないことがありますので、時間を無駄にしないためにも、大使館・総領事館に行く前に在留届を出しておきましょう。



今後は、オンラインで在留届を出していなければ、パスポート申請などの手続きがオンラインでできません。
(パスポートのオンライン申請は2023年3月27日スタート)
オンラインでちゃっちゃっと出しておきましょう!
【メリット4】滞在国の運転免許証への書き換え後、日本の運転免許証を返還してもらえる (国による)
滞在国で、日本の運転免許証から滞在国の運転免許証への書き換えをされる方も多いですよね。
EUでは、EU諸国以外の第三国の運転免許証との二重所持が禁止されていますが、日本政府との取り決めにより、現地の運転免許証への書き換え後、大使館を通じて日本の運転免許証が返還される場合があります。
例えば、在ドイツ日本国大使館や在ハンガリー日本国大使館のHPに下のような注意書きがあります。
日本の運転免許証をドイツの運転免許証に書き換えた場合、原則として日本の運転免許証は運転免許センターに引き取られ、後日、在ドイツ日本国大使館宛てに送付されることになっています(しかし、現状では必ずしも全ての免許証が当館に送付されてきているわけではありません)。
在ドイツ日本国大使館に送付された免許証については、在留届を元に居住地を管轄する在外公館から運転免許証名義人に返却しています。
在留届が未提出であったり、在留届を提出されていても転居等の変更届が未提出の場合には、返還できない場合がありますので、必ず在留届や変更届を提出していただくようお願いします。
引用:在ドイツ日本国大使館「書き換え後の日本の運転免許証について」
日本の運転免許証が返還されてきても、「在留届」が提出されていませんと、当館では名義人の方の連絡先を知ることができません。
引用:在ハンガリー日本国大使館「ハンガリーの運転免許証への切り替え手続き」
というわけで、在留届がきちんと出されていないと(在留届が出されていても引っ越しして古い住所が登録されたままだと)日本の運転免許証が返還されませんので気を付けましょう。
【メリット5】JRパス利用に必要な「在留届の写し」を発行してもらえる
お得に日本を旅行できるJRパス(ジャパン・レール・パス)をご存じですか。
JRパス(ジャパン・レール・パス) は海外在住日本人も使える!
現在のところ2023年12月31日まで、海外に住んでいる日本人も「同一国での在留期間が連続して10年以上であることを確認できる書類で、在外公館で取得したもの等」を提示できる場合に限り、JRパスの利用が認められています。
JRのルールで、アメリカ、カナダ、ブラジルに10年以上お住まいの方は、永住者カード(当該国に10年以上在留していることの記載があるもの)を提示することで認めてもらえるのですが、それ以外の国に10年以上お住まいの方は、大使館・総領事館で「在留証明」または「在留届の写し」を発行してもらう必要があります。
この「在留届の写し」は、10年以上前に在留届を出していた(在留届の受付日が10年以上前になっている)ことが発給の条件となっています。
もしかしたら今住んでいる国に10年以上住むことになって、(10年後も海外在住日本人がJRパスを利用することが認められていればの話ですが、)10年経った時点でJRパスを利用したくなるかもしれない、という人は、数日、数か月在留届を遅く出したがためにJRパスを利用できなかった...とわずかな遅れに泣くことにならないよう、少しでも早いタイミングで在留届を出しておきましょう!
(10年経った時点で、海外在住日本人のJRパス利用資格規定が変わっている可能性もありますが。)
在留届で届け出る情報
「在留届」では、どのような情報を届け出るのでしょうか。
筆頭者と同居家族のそれぞれについて、登録しないといけない情報(届出必須項目)と登録しても登録しなくてもどちらでもよい情報(届出任意項目)を下表にまとめてみました。
在留届の「筆頭者」「同居家族」については、こちらの記事で詳しく説明していますので、お読みください。
●が届出必須の項目、△が届出任意の項目です。
在留届の項目 | 筆頭者 | 同居家族 |
---|---|---|
氏名 (ローマ字) | ● | ● |
氏名 (漢字) | △ | △ |
生年月日 | ● | ● |
性別 | ● | ● |
渡航目的 (長期滞在又は永住) | △ | △ |
続柄 | – | △ |
日本国籍の有無 | – | △ |
在留国国籍の有無 | △ | △ |
本籍 | △ | – |
職業 | ● | – |
日本国パスポート番号 | ● | △ |
到着日 | △ | △ |
滞在期間 | ● | △ |
電話番号 | △ | – |
携帯番号 | ● | △ |
利用者ID (メールアドレス) | (オンライン届出時に登録済) | – |
メールアドレス | ● | ● |
在留地の住所又は居所 | ● | – |
在留地のFAX番号 | △ | – |
在留地の緊急連絡先 (日中の連絡先等) | ● | – |
会社・学校等日中の連絡先 | – | △ |
日本国内の連絡先の有無 | △ | – |
日本国内の連絡先 | 「日本国内の連絡先の有無」が 「有」の場合のみ● | – |
日本国内の所属先 | △ | – |
最後に
本記事では、在留届を出すタイミングや提出方法などについてご紹介しましたが、たくさんのメリットがあることもお分かりいただけたと思います。
まだ在留届を出されていない方はすぐにオンラインで出して、大使館・総領事館からの現地情報をうまく利用しながら、楽しく安全な海外生活をお過ごしくださいね。

